著者
深松 亮太
出版者
多摩大学グローバルスタディーズ学部
雑誌
紀要 = Bulletin (ISSN:18838480)
巻号頁・発行日
vol.15, pp.1-20, 2023-03-31

本稿では、ポピュリスト党機関紙である『コケィジャン』に掲載された 1898年と 1900 年の風刺画を分析する。ここでは特に、両年に行われた選挙戦に際して民主党が提起した批判的な言説に対して、ポピュリストたちがいかなる対抗言説を示していたのかを検討の中心とする。この検討を通じて筆者は、ポピュリストたちが目指した白人と黒人の政治的共闘が、両年の選挙を通じて変化していく諸相を改めて再検討する。その変化とは、貧しい白人の投票権が剝奪されつつある状況のなかでポピュリストたちが示した階級と人種の交差的な意識によるものであった。