著者
浅井 和康 鴻 信義 柳 清 深見 雅也 遠藤 朝彦 森山 寛 伊藤 裕之 大橋 正洋
出版者
耳鼻咽喉科展望会
雑誌
耳鼻咽喉科展望 (ISSN:03869687)
巻号頁・発行日
vol.38, no.3, pp.329-334, 1995-06-15 (Released:2011-08-10)
参考文献数
10

頸髄損傷患者3症例について, 体位変換時および排尿前後での鼻腔通気度の変化を調べた。その結果, 坐位から仰臥位に体位変換することによって鼻腔抵抗値は上昇し, 排尿することによって低下をみた。これは, 頸髄損傷患者に特有の自律神経過反射 (autonomic hyperreflexia) と呼ばれる現象に伴うものと考えられた。すなわち, 膀胱内の尿の充満などによる麻痺域への刺激が交感神経反射を惹起して全身性の血圧上昇を起こす現象であり, これによって非麻痺域すなわち鼻腔の血管拡張を招き鼻閉をきたす。また健常者でも坐位から仰臥位に体位変換することによってわずかに鼻腔抵抗が増大するが, 頸髄損傷患者では顕著にこの現象が現れることも, 外傷に伴う交感神経系の機能障害が関与していることが示唆された。
著者
森山 寛 深見 雅也 柳 清 鴻 信義
出版者
耳鼻咽喉科展望会
雑誌
耳鼻咽喉科展望 (ISSN:03869687)
巻号頁・発行日
vol.37, no.Supplement1, pp.63-65, 1994-08-15 (Released:2011-08-10)
参考文献数
4

中鼻道自然孔ルート付近の非可逆的粘膜病変を伴った慢性副鼻腔炎の治療においては手術的に中鼻道を開大しさらに上顎洞の自然孔の開大が必要となる。というのは上顎洞, 篩骨洞などの副鼻腔内部には正常の状態においてさえ, 自然孔の特有の形態によりエアロゾル薬物粒子は到達し難い。自然孔を手術的に拡大することによりはじめて薬物粒子が洞内の病的粘膜に効果をもたらす。手術的に開放することにより副鼻腔は通気と排泄が改善され, さらに薬物の効果も相まって治癒に至ると考えられる。したがって慢性副鼻腔炎に対するネブライザー治療においては中鼻道の拡大や自然孔の開大さらに洞内における貯留液の吸引除去がまず必要となる。
著者
白幡 雄一 深見 雅也 大西 俊郎
出版者
耳鼻咽喉科展望会
雑誌
耳鼻咽喉科展望 (ISSN:03869687)
巻号頁・発行日
vol.29, no.5, pp.537-543, 1986-10-15 (Released:2011-08-10)
参考文献数
9

A case of dysmorphobia that developed after submucous resection of the nasal septum is reported. The patient presumed that his dysphonia had developed due to a perforation of the nasal septum that developed after submucous resection 15 years ago. Rhinologic examination revealed pieces of chopsticks in the nasal cavity and also several perforations in the eardrum. The patient had been trying to close the septal perforation by inserting various materials into the nasal septum. The perforations of the eardrum had also been incurred by himself as he tried to relieve discomfort in the ear, that he believed also due to the perforated septum. Neurosis and personality disorder were suggested as diagnoses on psychiatric consultation. His complaints have been alleviated by cooperative treatments by rhinologists and psychiatrists.