著者
深谷 順子
出版者
日本図書館情報学会
雑誌
日本図書館情報学会誌 (ISSN:13448668)
巻号頁・発行日
vol.48, no.1, pp.1-16, 2002-03-30

視覚障害者サービスでは,関係機関と連携し,全国レベルのサービスを提供する中心機関の役割が重要である。しかし,日本では,全国レベルのサービス機関の力が弱く,効率的な業務分担が行われていない。本稿は,視覚障害者サービスにおいて世界的に評価の高いスウェーデンの全国レベルのサービス機関(TPB)の役割や関係機関との業務分担の特徴について考察した。その結果,次のことが明らかになった。1)それぞれの図書館や機関の役割が明確で,重複のない分担体制が確立されている。2)それぞれの施策が十分利用されて効果を発揮するように,配慮され体系化されている。3)効率的な分担体制の中心は,全国レベルの充実したサービスであり,これによって他の機関の任務が明確になり,負担が軽減されている。4)上記の1つの要因は,TPBと公共図書館がともに教育省の下にあることによって,視覚障害者サービスが一元化されていることである。