著者
淵上 愛子
出版者
神戸女学院大学
雑誌
女性学評論 (ISSN:09136630)
巻号頁・発行日
vol.21, pp.167-188, 2007-03-31

本論文は、小学生を対象にしている学年別学習雑誌にみられる、女の子が好む傾向の内容、男の子が好む傾向の内容がどのようなものであるかを比較する。また、女の子と男の子がどのように描かれているのかということを考察する。これらを10歳前後の女の子に焦点を当てて進めていく。考察の結果、「女の子」と「男の子」にはさまざまな違いがみられ、それぞれの性別で興味があることや、好まれる内容には特徴があるということが言えた。また、友人関係の築き方の違いなど、人間関係における性別ごとの特徴などもみることができた。そしてこれらの違いの中には、しばしば女の子はかわいらしく、守られる存在、男の子は強くてたくましいというジェンダー・ステレオタイプがみられるものもあり、それをもとにして描かれた内容のものがこの学年別学習雑誌には多くみられる。また、女の子向け、男の子向けの両方の内容を盛り込んでいることで、女の子も男の子も読むことができ、性別による極端な読者の偏りがなくなると言えるだろう。