- 著者
-
淵崎 員弘
大石 泰生
- 出版者
- 日本中性子科学会
- 雑誌
- 波紋
- 巻号頁・発行日
- vol.1, no.3, pp.17-20, 1991
原研中性子小角散乱装置は改造3号炉実験利用棟の特性波長0.6nmガイド管の終端 (C3-2) に設置され、試料による冷中性子の前方方向小角度 (散乱角0.1~10°程度) への散乱を測定するものであり、これにより合金、高分子、及び生体中のメゾスコピックスケール (1-数10nm) の構造の研究が行える。既に中性子速度選別機の波長較正及び2次元ディテクタの較正も終了しており本格的な物性測定実験に入ったところである。定常炉では国内初の本格的な小角散乱装置であり汎用装置としては非常にまとまった装置であると自負している。特記すべき点としてはその冷中性子強度であり (6.2×10<SUP>8</SUP>cm<SUP>-2</SUP>sec<SUP>-1</SUP>C3-2ガイド出口、鈴木正年らによる)、構造の時間発展に対する研究においてもその威力を発揮することが期待される。実際、高分子試料の時分割測定では興味ある結果が得られつつある。またサンプルチェンジャー (リボルバータイプ) が年内に完成する予定となっておりこれにより測定効率の大幅な上昇が見込まれる。基本的なデータ解析プログラムはほぼ完成しており今後はこれらをプロシージャ化してユーザフレンドリな実験環境を整えて行くつもりである.