著者
添田 正揮
出版者
川崎医療福祉大学
雑誌
川崎医療福祉学会誌 (ISSN:09174605)
巻号頁・発行日
vol.22, no.1, pp.1-13, 2012

本論文では,欧米のソーシャルワーク教育と実践の研究の発展過程を踏まえ,国際人口移動が進展し多文化・多様化社会となった今日,外国にルーツを持つ人々の問題に対応可能なソーシャルワーカーを養成する必要があることを示した.そのためには,文化的コンピテンスとダイバーシティの価値と理論に基づき,教育側と実践現場側が連携し,教育と実践の基準を構築することの必要性を示した.また,国際人口移動に伴う生命や生活の安定や安全保障の整備にあたっては,彼/彼女らのエスニックリアリティを念頭に置くことが求められる.それと同時に,各国の社会保障・安全保障という枠組みで考えるだけではなく,国家の枠組みを超えて人間の安全や生命をいかに守っていくかというヒューマン・セキュリティの考え方が重要となることが示唆された.