著者
添田 遼 田島 明子
出版者
一般社団法人 日本死の臨床研究会
雑誌
死の臨床 (ISSN:09124292)
巻号頁・発行日
vol.45, no.1, pp.145-151, 2023 (Released:2023-08-15)
参考文献数
22

目的:終末期がん患者の「歩く」意味を質的研究により探索することである。対象と方法:終末期がん患者の手記を対象とし,ライフチャートの作成を行い,「歩く」ことに関する記載からその意味の検討を行った。結果:乳児期,学童期,青年期,成人期の各時期における身体状況や信念,心情を整理し,「歩く」意味を明らかにした。がんの病期によって意味は異なり,「しっかり大地についていく感覚」が得られ「ありがたさ」を感じられるものであったり,「未来に向かっていこうとする志向性」「仕事をする」「みんなはよろこばないすばらしいこと」であったりした。考察:「歩く」意味は,「自身が大切にする信念を実行する意志」とまとめられた。
著者
添田 遼 三橋 麻菜 岡野 清音 横澤 愛子 奥津 輝男
出版者
日本緩和医療学会
雑誌
Palliative Care Research (ISSN:18805302)
巻号頁・発行日
vol.15, no.3, pp.167-174, 2020 (Released:2020-07-09)
参考文献数
23
被引用文献数
1

【目的】機能的自立度評価法(FIM)を使用し,死亡前6週のがん患者のADLの項目別の推移を検討すること.【方法】研究デザインは後方視的観察研究である.鶴巻温泉病院 緩和ケア病棟を死亡退院した18歳以上のがん患者55名を対象とし,FIMデータは診療録等から死亡直前(0週)から遡って6週間分を収集した.【結果】FIM合計点は死亡前6週55点から0週25点へ低下した.運動項目では食事・整容・排尿管理,認知項目では社会的交流・表出が死亡直前まで他の項目よりも自立度の高い項目であった.【考察】ADLへの支援は,死亡前2週までは,徐々に低下するベッド外での動作を安全かつ安楽に行えるように支援を行い,ベッド上での動作は死亡直前まで自立を続けられるように支援を行うことが望ましいと考える.