著者
稲葉 千晴 清原 瑞彦
出版者
名城大学
雑誌
萌芽的研究
巻号頁・発行日
1999

本研究では、第二次世界大戦中の日本・北欧協力によってすすめられた対ソ情報収集作戦「ステッラ・ポラーリス(北極星)作戦」についての解明を試みた。しかし、語学の壁もあり、国際的な研究チームを組まないかぎり、研究に着手できない。そこでフィンランド現代史研究のヘルシンキ大学人文学部Antti Kujala助教授の協力を仰ぎ、スウェーデン側の資料については、研究協力者の清原瑞彦北海道東海大学教授に調査を依頼した。そして、両国の既存研究を再検討し、どんな新資料が公開されたか分析した。一方で、日本側既存資料と、外交史料館・防衛研究所図書館の史料を突き合わせて、日本側の新資料発掘に努めた。もちろん、アメリカの資料も取り寄せた。新資料の収集に基づいて、日本・北欧側双方別個に、本作戦の実態に迫った。さらには、第二次大戦の表面に現れない、ソ連情報をめぐる北欧での日米の奇妙な協力関係を解明し、これまでの第二次大戦外交史の枠組みに一石を投じることができた。