著者
福田 敏男 市川 明彦
出版者
名城大学
雑誌
挑戦的研究(萌芽)
巻号頁・発行日
2017-06-30

本研究では、線虫が有する化学走性によるがん検出能力を用い、マイクロ流体チップ内にて高速、高精度でのがん検出を行うことを目的として研究を行った。その結果、マイクロ流体チップ内での化学物質の拡散速度を抑制し、100匹以上の線虫を一つのマイクロ流体チップ内に導入してがん検出検査を実施可能なマイクロ流体チップを設計、作製した。作製したマイクロ流体チップについては、チップ内に導入しがん検出を行う線虫の移動速度を向上させるために、波型の流路形状を採用し設計した。さらに、線虫が複数回がん検出の判定を行うことができるよう、流路分岐形状を設計した。これにより、実際のがん患者の尿サンプルを用いた実験を実現した。
著者
福田 敏男 竹内 大
出版者
名城大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2019-04-01

本研究では、申請者らが有する微細加工及び細胞組織構築技術を用いて、生体内の筋肉にある筋紡錘に相当するマイクロセンサを有する筋組織アクチュエータモジュール(SMAモジュール)を世界に先駆けて作製する。さらに、SMAモジュールを複数組み合わせることでフィードバックループを有する筋駆動マイクロロボットの実現を目指す。これにより筋制御機構の解明に寄与するファイン・ハイブリッド・バイオニクス(FH-Bio)を創生する。
著者
日野 輝明
出版者
名城大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2012-04-01

糞分析によって,ミヤコザサのある森林内ではササ類を,ドライブウェイ沿いではササ類以外の単子葉類を主に採食していた.シカの個体数は,植物現存量と有意な関係があったが,栄養的には植物の含む繊維量が最も重要であり,カロリーや粗タンパク質の量とは関係がなかった。この結果は,シカのルーメン胃内の微生物共生による採食特性と関係づけられた。一方で,脂肪分の多い広葉樹草本や落ち葉はシカの餌としては好まれないことが分かった。ドライブウェイの法面や路傍に生育するササ以外の単子葉類草本もシカの重要な餌資源となっていたことから,シカの個体数管理においては林内だけでなく林外の植生管理が必要である。
著者
衣斐 大祐
出版者
名城大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2019-04-01

NMDA受容体拮抗薬のケタミンは、難治性うつ病にも治療効果を示すため米国ではすでに使われ始めている。一方、Psilocybinなどセロトニン5-HT2A受容体(以下、5-HT2A)刺激薬も即効性と持続性を有する抗うつ作用を示すことが報告された(Kyzar et al, Trends Pharmacol Sci 2017)。我々は既にケタミンの抗うつ作用が5-HT2Aを介していることを見出している。そこで本研究では、5-HT2Aを介する抗うつ作用に関わる神経回路および抗うつ関連分子を明らかにし、ケタミンの抗うつ作用における5-HT2Aの役割を明らかにすることを本研究の目的とする。
著者
稲葉 千晴 清原 瑞彦
出版者
名城大学
雑誌
萌芽的研究
巻号頁・発行日
1999

本研究では、第二次世界大戦中の日本・北欧協力によってすすめられた対ソ情報収集作戦「ステッラ・ポラーリス(北極星)作戦」についての解明を試みた。しかし、語学の壁もあり、国際的な研究チームを組まないかぎり、研究に着手できない。そこでフィンランド現代史研究のヘルシンキ大学人文学部Antti Kujala助教授の協力を仰ぎ、スウェーデン側の資料については、研究協力者の清原瑞彦北海道東海大学教授に調査を依頼した。そして、両国の既存研究を再検討し、どんな新資料が公開されたか分析した。一方で、日本側既存資料と、外交史料館・防衛研究所図書館の史料を突き合わせて、日本側の新資料発掘に努めた。もちろん、アメリカの資料も取り寄せた。新資料の収集に基づいて、日本・北欧側双方別個に、本作戦の実態に迫った。さらには、第二次大戦の表面に現れない、ソ連情報をめぐる北欧での日米の奇妙な協力関係を解明し、これまでの第二次大戦外交史の枠組みに一石を投じることができた。
著者
五十畑 浩平
出版者
名城大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2016-04-01

本研究の目的は、フランスの長い職業教育の歴史のなかで発達してきた、理論的教育と企業での職場実践を組み合わせた「フランス型デュアルシステム」に関し、近年普及が高まってきた高等教育におけるそれに対象を絞り、どのような歴史的発展を遂げてきたのか、あるいは、実際どのような教育がなされているのか、また、どのような教育上の効果や問題点があるのかを解明していくことにある。課題であるフランスの高等教育における職業教育の実態、とくに高等教育におけるデュアルシステム(formation en alternance:交互制職業教育制度)の実態究明にあたり、本年度も昨年度同様、フランスの教育制度や、職業教育制度の歴史と現状についてのサーヴェイを引き続き行って来た。また、フランスの労使関係について、近年の動向を調べ、2018年3月331日、社会政策学会東海部会において、「フランスにおける労働市場改革の動向」と題しその成果を報告した。また、本研究課題の中心テーマであるフランスの交互制職業教育制度については、その教育制度のひとつであるcontrat d'apprentissage(見習契約)に着目し、引き続き、この制度を中心とした過去の統計データや資料を収集してきた。今後は、こうした日本でのサーヴェイを踏まえ、フランスでの現地調査を行い、フランスにおける労働市場改革の動向の実態に迫っていきたい。
著者
津村 文彦
出版者
名城大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2014-04-01

本研究では現代タイにおけるタトゥーの社会的布置と動態を分析した。サックヤンと呼ばれるタイの伝統的タトゥーは、僧侶などの宗教専門家によって、特別な文字と図像を身体に刻むことで呪術的な力を発揮するとされる。しかし現在ではファッション目的でサックヤンが用いられ、西洋の意匠が多く導入されている一方で、50年以上前からタトゥーが呪術でなく装飾のためにもしばしば用いられていた。タイのタトゥーをめぐる様々なフィールドデータより、魅惑と暴力という両義的な力こそがタイのタトゥーのもつ特徴であることが明らかになった。
著者
吉川 雅弥
出版者
名城大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2013-04-01

リバースエンジニアリングの技術の進歩に伴い,ハードウェアトロイの脅威が顕在化してきた。ハードウェアトロイとは,予め定めた発動条件を満たした場合,不正な動作を行うハードウェアウイルスのことである。一方,機密情報は,理論的に安全性が保障されているアルゴリズムを用いて,データを暗号化している。しかし,暗号化は回路で行われるため,その回路動作時の消費電力等を測定することで,不正に内部の秘密情報を解析する攻撃が研究されている。そのため,最近では暗号回路を対象に,いくつかの不正防止回路が開発されている。そこで本研究では不正防止回路も含めた暗号回路に対するハードウェアトロイの対策・検出手法を開発した。
著者
清水 教之 村本 裕二
出版者
名城大学
雑誌
萌芽研究
巻号頁・発行日
2004

本研究の目的は、含水冷却固化させた竹繊維(竹-氷複合系)をガラス繊維強化プラスチック(GFRP)の代替材料として極低温超電導機器の電気絶縁システムに適用する可能性を検討することにある。従来から、超電導電力機器に必要とされる極低温領域の電気絶縁材料としてはもっぱらGFRPが使われてきた。しかし、GFRPは廃棄の際に環境に与える負荷が大きいことが問題視されている。これに対して、竹と氷で構成した竹-氷複合系は廃棄の際に環境に与える負荷は著しく小さい。竹材は、構造上水分を吸収するために、竹材に水分を含浸させた後、極低温冷媒中(液体窒素)に含浸し竹-氷複合絶縁系を形成させることを考えた。この複合系を試料として絶縁破壊特性を観測し、極低温領域における新しい複合材料の電気絶縁構成の可能性を評価した。本年度は、竹-氷複合絶縁系における交流絶縁破壊特性に及ぼす竹の異方性の影響を取り除くために竹をパルプにし、竹パルプ-氷複合系として実験を実施し、検討を行った。その結果、竹が持つ構造上の異方性を取り除くことができ、交流絶縁破壊特性に及ぼす異方性の影響も小さくすることができた。交流絶縁破壊特性においては、GFRPのものと同等程度の値を得ることができた。さらに竹をパルプ化することで形状を変化させることが可能となった。これらの結果より竹パルプ-氷複合系は、低環境負荷の極低温電気絶縁材料であることが実証され、今後、GFRPの代替材料として実機への応用の可能性が示された。
著者
代田 清嗣
出版者
名城大学
雑誌
名城法学 (ISSN:04616898)
巻号頁・発行日
vol.68, no.2, pp.44-96, 2018-10-26
著者
小塩 達也
出版者
名城大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2010

大型車両の荷重データを分析し,過積載車両の実態とその影響を把握する方法について検討した.車両の積載状態をパターンマッチングおよび各種制限値を判断して空車・積載・過積載に分類する方法を提案した.また,積載状態を判定した自動車荷重データを軸重の3乗和が損傷に比例するとした疲労損傷モデルに適用し,車両群全体がもたらす疲労損傷全体に対して,空車・積載・過積載の車両群のそれぞれの影響度を試算した.
著者
坂東 俊治
出版者
名城大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2013-04-01

亜鉛をドープした酸化鉄ナノチューブを作製し,温度に対する構造安定性と光学的バンドギャップの評価を行った.その結果,亜鉛ドープ酸化鉄ナノチューブはマグネタイト構造を有し約300℃まで安定であり,バンドギャップを2.0eVまで狭くすることができた.亜鉛ドープをしない酸化鉄ナノチューブとCH3NH3PbI3,P3HTを用いて光電変換セルを作り,波長400nm における分光感度を40%まで高め,かつ,600nmにおいても10%に迫る値を得ることに成功した.しかし,グラフェンを電極として特性を調べるまでには至らず,同じ炭素系材料のカーボンナノチューブ薄膜の作製に関する基礎データを得るにとどまった.
著者
野田 幸裕 毛利 彰宏 鍋島 俊隆 尾崎 紀夫
出版者
名城大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2012-04-01

統合失調症の発症要因(周産期ウイルス感染、出産時低酸素脳症や育児放棄)の共通因子として、プロスタグランジンE2(PGE2)が関与するどうか検討した。発症要因を模したモデルマウスの脳内PGE2量は増加していた。周産期ウイルス感染モデルマウスに認められる統合失調症様の認知・情動行動障害にEP1受容体が関与していた。新生仔期PGE2暴露は、神経発達障害に伴う成体期ドパミン神経機能低下や認知行動障害を惹起させ、乱用薬物に対して脆弱性を示した。一方、統合失調症の発症・病態にPGE2関連遺伝子の関連性は認められなかった。PGE2は統合失調症の環境要因の共通因子および、発症脆弱性に関わることが示唆された。