- 著者
-
光井 卓
清水 奈保子
田中 雄悟
大路 剛
亀井 克彦
眞庭 謙昌
- 出版者
- 特定非営利活動法人 日本呼吸器外科学会
- 雑誌
- 日本呼吸器外科学会雑誌 (ISSN:09190945)
- 巻号頁・発行日
- vol.34, no.1, pp.57-61, 2020-01-15 (Released:2020-01-15)
- 参考文献数
- 15
症例は46歳女性.中米を拠点として中南米で勤務している.健診で胸部異常陰影を指摘され,CT検査で右肺下葉に辺縁明瞭な2 cmの小結節が認められた.現地でCTガイド下生検術を施行されるも悪性所見は認めず,抗酸菌,真菌の感染所見も認めなかった.精査目的で帰国後,前医で気管支鏡検査を施行されるも壊死のみで診断がつかず,肺生検目的で当科に紹介となった.胸腔鏡下右下葉部分切除術を施行し,術中迅速検査にて悪性所見は認めず,炎症性肉芽腫の診断であった.検体は黄白色調,凝固壊死を伴った類上皮肉芽腫であり,病理診断では抗酸菌染色は陰性,Grocott染色で類円形,楕円形の酵母様真菌が認められた.術後血清H. capsulatum陽性を確認し,肺ヒストプラズマ症と診断した.免疫正常者であり,無症状であることからIDSAガイドラインに則り,経過観察となった.術後20ヵ月現在,感染の再燃なく経過している.