著者
清水 康生 原口 公子
出版者
公益社団法人 日本水環境学会
雑誌
水環境学会誌 (ISSN:09168958)
巻号頁・発行日
vol.40, no.1, pp.31-38, 2017 (Released:2017-01-10)
参考文献数
18

水環境健全性指標の活用方法として, 小学校教育の総合学習へ適用することが考えられる。しかし, 適用の有効性については指摘されているが, その効果を具体的に検証している事例はない。本稿では同指標を活用した授業の有効性について同じ児童を4年時と5年時の二カ年に亘り調査し検証を試み, さらに, 三カ年目に新5年生の児童にも検証のための調査を行った。内容としては, 同指標の調査を行うと同時にアンケート意識調査と感想文の記述を行ってもらい, 指標の回答内容の変化と意識内容の変化を比較し, 回答に関係する意識の広がりや深まりなどの変化が学習効果を表していると考えた。分析の結果, 水環境健全性指標による調査経験は, 児童の水環境に関する知識の取得だけでなく意識の変化とも関連し, 生物のような分かり易い事項からゴミや汚れという環境問題へと関心が広がっている学習効果を確認した。