著者
清水 瀞 加藤 博史 米沢 貞次郎
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
日本化學雜誌 (ISSN:03695387)
巻号頁・発行日
vol.88, no.10, pp.1050-1053, 1967-10-10 (Released:2011-05-30)
参考文献数
18

シクロプロパン環の共役性について検討するため, シクロプロビルベンゼンおよびメチルシクロプロピルケトンについて, それぞれ2種の構造,非bisect形〔A〕とbisect形〔B〕の電子状態を拡張Hückel法を用いて計算しエチルベンゼン,スチレン,メチルイソプ揖ピルケトンおよびメチルビニルケトンの結果と比較した。シクロプロピルベンぜンおよびメチルシクロプロピルケトンのイオン化ポテンシャル, 電子分布およびπ-bond populationを比較することによって,両化合物とも〔B〕構造の方が〔A〕構造より共役能が大きいことがわかった。それゆえに, シクロプロパン環は環平面内にビニル基と同程度の共役能を有することが明らかにされた。