- 著者
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清水 眞澄
- 出版者
- 日本文学協会
- 雑誌
- 日本文学 (ISSN:03869903)
- 巻号頁・発行日
- vol.62, no.7, pp.37-46, 2013-07-10 (Released:2018-07-13)
中世、名は与えられるものという建前を持ちつつも、実は名乗ることで「名」を主体的に用いる、いうなれば自らの役割や位置づけを主張するための名乗りが出現した。これは、歴史的な経緯の中でも極めて注目すべき変換であった。やがて芸能の世界では、通字ではなくて、名前そのものが受け継がれるようになった。芸名の出現である。けれども、中世以前の芸名が具体的にどのような社会的価値を持ったのかという検証は、従来ほとんど行われてこなかった。本稿では、舞童の名の問題から芸名の系譜をたどり、その有りようを中世の定型と捉えることで、文芸を読み解くための手掛かりとしたい。