- 著者
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清水 研明
- 出版者
- 川崎医療福祉大学
- 雑誌
- 川崎医療福祉学会誌 (ISSN:09174605)
- 巻号頁・発行日
- vol.2, no.1, pp.25-31, 1992
言語の「経済性」, すなわち, 有限数の音素から数十万の形態素を, さらにその形態素からほぼ無限数の文をつくりだすことが可能なのは, 自然言語が「二重」に「分節」されているからである.チンパンジーを中心にした類人猿に手話や人工言語を習得させるプロジェクトにおいて, この「二重分節」に言及されることが多い.「二重」に「分節」された手話や人工言語を使って語や文を産出しているのだから, 類人猿達の「言語」にも経済性がみられる, といった評価が一般的である.しかし, 類人猿達の産出する語や文はタイプの数が限られており, 人間のそれとは比較すべくもない.本論では, 「二重分節」という構造を持つシステムの習得が, 「経済性」の発現を必ずしも保障しないことを論じる.