著者
清水 英利
出版者
Japanese Society of National Medical Services
雑誌
医療 (ISSN:00211699)
巻号頁・発行日
vol.31, no.1, pp.29-36, 1977

私は分裂病退院患者を常時30~40名受持ち, 再入院予防を目的として10年間アフターケアを行つてきた. 現在2年以上社会生活を維持できたものが12名あり, 就職6名, 家業従事2名, 家事従事2名などすべて就労していた. 長期間社会生活を維持できた諸要因として<br>1)大部分が定期通院と服薬持続をしている<br>2)全例において家族の協力が良好である<br>3)家庭の経済状態は中流以上が多い<br>4)在院期間は短く1年未満が多い<br>5)病前に就労経験のある若い人が多い<br>6)患者の好む夜勤のない対人関係の容易な過労にならない持続的な仕事がある<br>7)精神衛生法32条と43条は通院中断防止に役立つている. 再発の誘因には服薬中断, 過労, 通院中断, 精神緊張が多く, 再発時初発症状は不眠, 幻聴, 好褥などが多かつた.