著者
清水 高正 永友 寛司
出版者
宮崎大学
雑誌
一般研究(C)
巻号頁・発行日
1987

Dot-immunobind(DIB)法による鳥系マイコプラズマの簡易同定法及び鶏のマイコプラズマ感染抗体の検出法を検討し、次の成績を得た。1)DIB法には、先人が使用したニトロセルロース膜や最近開発されたニトロプラス2000膜よりも、Durapore膜が染色性,弾力性の点で優れていた。2)マイコプラズマの液体培養を抗原とする家兎抗血清を用いたDIBでは交差反応が著明で、同定は不能であったが、培養液を遠心洗滌して得た菌体を抗原とした場合;ホモ抗血清はヘテロ血清より遙かに高いDIB力価を示した。従って、この方法もしくはモノクローナル抗体を用いたDIB法は、マイコプラズマの簡易迅速同定法になることが示唆された。3)SPF鶏の血清の多くは1:20以下、稀に1:40の弱いDIB力価を有することが判明した。一方、実験感染鶏では1週後から1:160以上の高いDIB力価が産生され、11週まで高い抗体価が保持された。4)実験感染鶏及び自然感染鶏の血清では、HI陽性(【greater than or equal】10)とDIB陽性(Greater Than or Equal80)及びHI陰性(<10)とDIB陰性(【less than or equal】40)がよく一致し、自然感染鶏175羽のうち両反応陽性の鶏78例では、両抗体価の相関性は、r=0.81(P<0.01)であった。5)M.gallisepticum(MG)とM.synoviae(MS)の両抗原を用いたDIB抗体価の測定成績と、これらの両抗原を同一の膜片に固定させ、血清の定点希釈法で実施したDIB反応の成績は、い一致率を示し、後者の方法は野外で感染抗体の有無を調べる際の簡便法になるものと考えられる。以上の成績から、マイコプラズマ以外の病原体についても本法の応用が検討され、それらの抗原が同一膜片上に固定されたキットが市販されるなら、DIB法は各種鶏病の簡易・迅速診断〓〓〓