- 著者
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清田 夏代
黒崎 勲
- 出版者
- 南山大学
- 雑誌
- 挑戦的萌芽研究
- 巻号頁・発行日
- 2007
平成19年度及び平成20年度は,主にシティズンシップ教育政策の枠組みの部分を中心とした研究を行ってきたが,最終年度である平成21年度は,これまで構築された枠組みに基づき,英国における実地調査を行った.英国においては平成22年5月に総選挙が予定されており,既に労働党及び保守党の両党を中心とした選挙戦が繰り広げられている.それらの争点には教育政策も含まれており,本研究の課題と関わるものとしては,学校の規律の立て直しをめぐる提案や,PSHEの義務化の提案などをめぐる諸問題が議論の対象となっている.そうしたなか,平成22年2月に英国におもむき,英国における若者に対する民主主義的理解を振興させるための機関(政治的には中立である)であるハンサード協会シティズンシッププログラムの責任者を訪問し,英国におけるシティズンシップ教育の現在,方法及び課題等についてインタビューし,同時に,今後予想される政治的な影響などについて聞き取りを行った.同時に,人権教育を主体としたシティズンシップ教育研究を展開しているオードリー・オスラー教授(リーズ大学及び香港大学客員教授)及び,共同研究者であるヒュー・スターキー教授(ロンドン大学教育研究所)を訪問し,英国における政治的動向と,それがシティズンシップ教育の実践にどのような影響を及ぼしうると考えられるかということについて,聞き取りを行った.現地におけるこれらの調査は,今後の研究の課題の枠組みとして展開される予定である.