- 著者
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竹尾 剛
渋谷 統寿
本村 政勝
金沢 一
宍戸 春美
- 出版者
- 公益社団法人 日本化学療法学会
- 雑誌
- CHEMOTHERAPY (ISSN:00093165)
- 巻号頁・発行日
- vol.37, no.9, pp.1154-1159, 1989-09-25 (Released:2011-08-04)
- 参考文献数
- 8
ニューキノロン系抗菌剤と消炎鎮痛剤の併用により痙攣と高CK血症を来した症例を経験した。症例は64歳女性。膀胱炎のためエノキサシン (ENX) 300mg/日とフェンブフェン (FBF) 1,200mg/日を4日間服用中に突然意識消失し, 痙攣を来した。強直性痙攣と不穏状態が間歇的に3回繰り返し起こったが, 約4時間後には意識清明となった。入院時の心電図, 頭部CTスキャンは正常範囲であった。入院後著明な高CK血症 (第5病日に最高17,712IU/1と最高値) を認めたが第13病日には正常化した。CKアイソザイムはすべてMM型であったが, 針電極筋電図, 筋生検に異常はなかった。次に, マウスを用いてニューキノロン系抗菌剤による痙攣の発症に関する基礎実験を行なった。その結果ENXのみならず, シプロフロキサシンもFBFとの併用により痙攣を発症することがわかったが, オフロキサシンとFBFの併用では痙攣は発症しなかった。痙攣の予防に抗菌剤とFBFの投与前にあらかじめバルプロ酸ナトリウム, γ-アミノ-β-ヒドロキシ酪酸, プロスタグランディンE2, ジアゼパム, およびフェノパルピタールを投与したがいずれも痙攣の発症を抑えることはできなかった。ENXとFBFの併用による痙攣は現在まで7例が報告され, その主因はENXであろうと推定されているが, その機序は不詳である。