著者
渡津 章 井汲 憲治 野浪 亨
出版者
一般社団法人日本歯科理工学会
雑誌
歯科材料・器械 (ISSN:02865858)
巻号頁・発行日
vol.20, no.4, pp.243-248, 2001-07-25
被引用文献数
2

人間の口腔内で破損したBranemark人工歯根を調べ, 破断プロセスを検討した.この試料は歯根として機能していたが, 歯槽骨の吸収が起こった後, 破折したものである.破断部ではフィクスチャーの内側のネジ山の谷部に沿った形で外側の谷部が形成されており, 大きい荷重を受ける機械的強度の低い部分から破壊したことが分かった.また, フィクスチャーの破断面では, 破断時に生じる細かい起伏形状がなくなっていた.一方, 中央のネジには細かい波状の構造があった.つまり, このネジが繰り返し応力を受けて破断したことが分かった.これらのことから, まずフィクスチャー部のネジ山谷部に沿って亀裂が生じた後, 破断面が塑性変形を起こし, 最後に中央のネジが繰り返し応力により破断したことが分かった.