著者
長谷 博子 林 恵里奈 平尾 竜馬 野浪 亨
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集 62回大会(2010年)
巻号頁・発行日
pp.99, 2010 (Released:2010-10-15)

<目的>公共施設などでは禁煙化が進んでいるが,飲食店などで喫煙者が近くに居ると,衣服などにたばこ臭が付着することがあり,不快に感じることがある.そこで本研究は,たばこ臭の生地への吸着および放散量を明らかにすることを目的とする. <実験方法>たばこに火を点けて1Lのフラスコ内に吊るし,アルミホイルで密封し3分後にシリンジで10ml採取した.無臭空気を満たした3Lのにおい袋に注入し,これを原臭とした.生地試料は,100%の綿,ポリエステル,ウールの平織りを使用した. たばこ臭の吸着は,5×5cmの試験片1枚とたばこの原臭を30倍希釈してにおい袋に入れ,1時間室温で静置した.たばこ臭の放散は,におい袋に24時間たばこ臭を吸着させた試験片と無臭空気を入れて室温で静置した後,においを評価した.たばこ臭の評価は,におい識別装置(島津製作所製)を使用した. <結果および考察>においの強さは,におい識別装置によって算出される臭気指数相当値によって評価した.たばこ臭の希釈倍数と臭気指数相当値との相関係数は,0.942と強い相関が見られたため,たばこ臭の測定が可能であると判断した.30倍希釈のたばこ臭は12であった.生地自体のにおいは,1時間後には,綿:14,ポリエステル:16,ウール:11であった.生地とたばこ臭を入れたにおい袋内の値は,綿:21,ポリエステル:20,ウール:22であった.たばこ臭の放散は,綿:19,ポリエステル:13,ウール:17であった.よって,におい識別装置で評価した結果,たばこ臭はポリエステルに最も吸着し,生地からはウールが最も放散することが分かった.
著者
長谷 博子 亀井 大造 矢野 大樹 野浪 亨
出版者
人間-生活環境系会議
雑誌
人間-生活環境系シンポジウム報告集
巻号頁・発行日
vol.39, pp.197-198, 2015

におい刺激に対する快・不快度は,DVA動体視力にどのような影響を与えるのか検討した.若年者30名(男性15名,女性15名)を被験者とし,15種類のにおい(植物精油:10種類,悪臭物質:5種類)を用いて,DVA動体視力の評価を行った.被験者らは,においを6段階臭気強度尺度と9段階快・不快尺度を用いて評価した.DVA動体視力の評価には,ポータブルゲーム機(DS眼力トレーニング)を使用した.においに対する快・不快度とDVA動体視力の間には,負の相関が認められた.さらに,においに対して不快と申告したにおい物質とDVA動体視力の間には,強い負の相関が認められた.においがより不快な方がDVA動体視力の得点が高くなった.
著者
中根 久志 青木 早苗 野浪 亨 田中 一彦 森 勝伸 幸本 和人 刀根 如人 亀山 哲也
出版者
日本セラミックス協会
雑誌
Journal of the Ceramic Society of Japan (日本セラミックス協会学術論文誌) (ISSN:09145400)
巻号頁・発行日
vol.115, no.1338, pp.151-155, 2007
被引用文献数
2

An acid resistant fluoroapatite coated titanium dioxide (FAp-TiO_2) was synthesized by adding a fluoride ion (F^-) to hydroxyapatite (HAp), in order to avoid dissolution of the HAp at an acidic atmosphere. In this study, the optimization of synthetic conditions of FAp-TiO_2 was investigated in terms of the amount of the fluorine (F^-) added to the simulated body fluid, the reaction temperature and the time. The addition of F^- to simulated body fluid was performed after coating HAp on the surface of TiO_2 surface. The crystallinity of FAp phase generated on the TiO_2 was strongly affected by changing the reaction conditions. The optimized synthetic conditions of FAp-TiO_2 as photocatalyst were the addition of 0.25mM-0.5mM F^- in the fluid and then the reaction time for 3h at 60℃. The adsorptivity and the photocatalytic activity of the FAp-TiO_2 in the optimum conditions were investigated using the butyric acid and trimethylamine as model solutions. Consequently, the FAp-TiO_2 could obtain higher adsorptivity and photocatalytic activity for trimethylamine, rather than the uncoated TiO_2.
著者
中根 久志 青木 早苗 野浪 亨 田中 一彦 森 勝伸 刀根 如人 亀山 哲也
出版者
公益社団法人日本セラミックス協会
雑誌
日本セラミックス協会学術論文誌 : Nippon Seramikkusu Kyokai gakujutsu ronbunshi (ISSN:18821022)
巻号頁・発行日
vol.114, no.1334, pp.838-843, 2006-10-01
被引用文献数
5 11

An acid resistant fluoroapatite (FAp) coated titanium dioxide (TiO_2) was synthesized by adding a fluoride ion (F^-) to hydroxyapatite (HAp), in order to avoid dissolution of the HAp at an acidic atmosphere. In this study, different methods of adding F^- to the apatite in a simulated body fluid were tested; one was synthesized by coating a simulated body fluid including Ca^<2+>, PO_4^<3-> and F^- to the TiO_2 (method 1), and another method was by mixing the F^- after coating a simulated body fluid without the F^- to the TiO_2 (method 2). The apatite crystalline phase of the coated TiO_2 was found to increase with F^-, by using a XRD and a FT-IR. The size of crystalline apatite was strongly affected by the method of adding F^-. The size of the crystalline synthesized by method 1 was larger than that by method 2. The photocatalytic activities of the apatite coated photocatalysts to organic substrates such as propionic acid were evaluated using an ion chromatography. The deterioration of FAp coating during photooxidation of the propionic acid with an UV-irradiation was largely suppressed compared with that of the HAp coating.
著者
長谷 博子 野浪 亨 中村 利治
出版者
The Japan Society of Home Economics
雑誌
一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
pp.118, 2012 (Released:2013-09-18)

<目的> 花粉症の原因である花粉を除去するために,アパタイトと二酸化チタンの粉末を用いてマツ花粉の吸着・分解能の評価を行った. <方法> マツ花粉0.1gとアパタイト粉末0.1g,マツ花粉0.1gと二酸化チタン粉末0.1gをそれぞれ乳鉢で混合した後,走査型電子顕微鏡で観察した.さらに,マツ花粉と二酸化チタン粉末を混合した試料には,ブラックライトを照射した後にも顕微鏡観察を行った. 応用例の実験として,アパタイト被覆二酸化チタンを塗布した網目約1mmのポリエステル製ネットと不織布についても評価を行った.試験片1×1cmとマツ花粉0.1gをバイアルに入れて振とうした後に試験片を取り出し,未処理の試験片と比較して観察した. <結果および考察> マツ花粉の大きさは,球形で直径が30~50μmであり,スギ花粉と同程度の大きさであることが分かった.アパタイト粉末と二酸化チタン粉末は,いずれもマツ花粉の表面に吸着している様子が観察できたが,アパタイト粉末の方が明らかに多く吸着していた.アパタイト被覆二酸化チタンを塗布したポリエステル製のネットは,未処理のネットと比べて明らかに多くのマツ花粉を吸着していた.このことから,ポリエステル製のネットにアパタイト被覆二酸化チタンを塗布することでマツ花粉の侵入を低減できる可能性があることが分かった.なお,ポリエステルネットは蚊帳用として,不織布はマスク用として利用されているものである.
著者
渡津 章 井汲 憲治 野浪 亨
出版者
一般社団法人日本歯科理工学会
雑誌
歯科材料・器械 (ISSN:02865858)
巻号頁・発行日
vol.20, no.4, pp.243-248, 2001-07-25
被引用文献数
2

人間の口腔内で破損したBranemark人工歯根を調べ, 破断プロセスを検討した.この試料は歯根として機能していたが, 歯槽骨の吸収が起こった後, 破折したものである.破断部ではフィクスチャーの内側のネジ山の谷部に沿った形で外側の谷部が形成されており, 大きい荷重を受ける機械的強度の低い部分から破壊したことが分かった.また, フィクスチャーの破断面では, 破断時に生じる細かい起伏形状がなくなっていた.一方, 中央のネジには細かい波状の構造があった.つまり, このネジが繰り返し応力を受けて破断したことが分かった.これらのことから, まずフィクスチャー部のネジ山谷部に沿って亀裂が生じた後, 破断面が塑性変形を起こし, 最後に中央のネジが繰り返し応力により破断したことが分かった.
著者
長谷 博子 松下 調子 明田 喜仁 大八木 薫博 熊谷 崇行 野浪 亨
出版者
一般社団法人日本歯科理工学会
雑誌
歯科材料・器械 (ISSN:02865858)
巻号頁・発行日
vol.23, no.1, pp.16-20, 2004-01-25
被引用文献数
11

二酸化チタン光触媒を利用して,義歯に付着した歯石やヤニの除去が可能であるかメチレンブルー,ヘマトポルフィリンおよびたばこのヤニを染色モデルとして検討した.二酸化チタンと微量の酸で二酸化チタン洗浄剤を調製した(以下二酸化チタン洗浄剤という.).この二酸化チタン洗浄剤により,lOppmのメチレンブルーを2分間で5ppm以下に脱色することができた.また二酸化チタン洗浄剤によりヘマトポルフィリンで染色した試験紙をL^*値は60程度から90近くに増加させた.a^*値は20近くから0以下に減少させ,ヘマトポルフィリンの赤褐色を完全に脱色することができた.更に,たばこのヤニは二酸化ヂタン洗浄剤による洗浄後のΔL^*値は14.43と高い値を示し,Δa^*,Δb^*値も-8.35と-8.15とそれぞれ脱色することができた.よって本研究により,安全かつ簡単に義歯を痛めることなく洗浄できることが期待できる.