- 著者
-
渡辺 一宏
- 出版者
- 一般社団法人 日本消化器内視鏡学会 関東支部
- 雑誌
- Progress of Digestive Endoscopy (ISSN:13489844)
- 巻号頁・発行日
- vol.87, no.1, pp.63-67, 2015-12-12 (Released:2016-01-06)
- 参考文献数
- 15
高齢者の大腸内視鏡検査(CS)数が増加している.当院のCSを受けた超高齢者90歳以上の患者の平均寿命と検査満足度の実態調査を行った.【対象と方法】2005年から2008年までの4年間に当院でCSを受けた当時90歳以上の78患者を対象として5年以上経過した2013年に追跡調査し,平均生存期間中央値(MST)をKaplan-Meier法を用いて対照群(当院で追跡できた年齢性別が合致した上部内視鏡検査患者群)と比較検討した.【結果】アンケート回収できた56例の検査時平均年齢91.7±1.6(90〜98)歳,MSTは3.7年で対照群と比し有意差を認めなかった.さらにグループ分けした治療群(外科/内視鏡治療)でもMSTは3.7年であった.【結論】CSを受けた90歳以上の超高齢者の平均生存期間は約4年程度であり,対照群と有意差を認めなかった.また90歳以上では有症状からでも十分なCS検査効果があると思われたが,検査を受けた患者とその家族のCS満足度は高い.今後,本邦における90歳以上のCS患者の増加が予想されるが,自覚症状のない高齢者にスクリーニングCSを何歳まで勧めるべきか平均余命を含めた議論も必要である.