著者
浮山 越史 伊藤 泰雄 韮澤 融司 渡辺 佳子 吉田 史子 牧野 篤司
出版者
日本腹部救急医学会
雑誌
日本腹部救急医学会雑誌
巻号頁・発行日
vol.29, no.1, pp.63-68, 2009

当教室の小児腹部外傷患者の経験をもとに,診療のコツ,について考察した。重症度判定では腹部外傷スコア(ATS)が有効であった。交通外傷,転倒・転落では実質臓器損傷が多かった。自転車転倒によるハンドル外傷では,十二指腸損傷が多く,疑われる場合には,上部消化管造影や造影CTが有用であった。膵仮性嚢胞は最大径60mm以上で,40日以内に軽快しない場合には手術適応であった。実質臓器損傷は保存的治療を基本としているが,急変の可能性を考慮し,繰り返す診察と検査,24時間モニターによる観察が必要であり,急変時に備えて,IVR・手術の24時間体制の構築が重要である。
著者
浮山 越史 伊藤 泰雄 韮澤 融司 渡辺 佳子 吉田 史子
出版者
特定非営利活動法人 日本小児外科学会
雑誌
日本小児外科学会雑誌 (ISSN:0288609X)
巻号頁・発行日
vol.41, no.6, pp.783-788, 2005-10-20 (Released:2017-01-01)

急性腹症で発症した, 機能性子宮を有する膣欠損症の2症例(15歳, 14歳)を経験した.2症例とも, まれな下部膣欠損症であり, 子宮膣留血腫を認めた.膣前庭部からのドレナージは2症例とも不成功であったため, 再手術にて腹腔側から子宮膣留血腫のドレナージ術を要した.その後, 膣前庭粘膜圧伸法(Frank法)にて膣前庭部の粘膜を4.5cm, 3.7cmの長さに伸展, 延長して, それぞれ9カ月, 5カ月後に膣形成術を行った.術後はプロテーゼ留置による吻合部狭窄の予防が行われた.Frank法は根治術までに時間と本人, 家族の労力を要するが, 自然に近い状態の膣が形成される優れた治療法であり, 本症に対する第一選択と考える.