著者
渡辺 克己
出版者
学校法人 北里研究所 北里大学一般教育部
雑誌
北里大学一般教育紀要 (ISSN:13450166)
巻号頁・発行日
vol.16, pp.91-106, 2011-03-31 (Released:2017-09-29)

我が国の小学生と中学生の科学的リテラシーは世界的に最上位のレベルにある。しかし、成人では下位のレベルになってしまう。児童・生徒と理科担当教員の現状を分析し、理科教育の改善に向けた検討を試みた。 ・小学生は理科が好きでよく学習するが、中学校では理科を難しいと感じ、理科が嫌いになる生徒が増える。高校になると、理科は嫌いで大切ではなく役に立たないと思う生徒が多数となり、家ではほとんど学習しない者が急増する。・神奈川県の理科の新採用教員は、高校の教科書に出てくる代表的な77 実験を平均で27.1% しか経験しておらず、実験・観察技術の習得が急務であり、教員養成、研修体制の整備が必要である。・今回の学習指導要領の改訂では、探求活動や生活と関連する内容等が増えており、生徒の知離れ、理科嫌いの状況を踏まえ、理科教育を抜本的に見直す良い機会である。・授業改善( 教え方の工夫 ) と同時に、一人ひとりに考える手順を指導した上で、話し合いと発表など協働作業に参画させる学習支援 ( 学ばせ方の指導 ) を行うことで、理科嫌いだった高校生を理科好き変えた研究が行われた。