著者
浅野 文 島谷 幸宏 渡辺 裕二 渡辺 昭彦
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
土木計画学研究・論文集 (ISSN:09134034)
巻号頁・発行日
vol.13, pp.303-312, 1996-08-31 (Released:2010-06-04)
参考文献数
14
被引用文献数
2

都市における鳥類と人間との関係を調べるために、1993年に農村域として小貝川、1994年に都市域として多摩川で、鳥類の避難行動 (逃避行動、回避行動、警戒行動) 開始時の距離を測定した。測定された距離の結果は、(1) 地域による相違 (小貝川に対する多摩川での距離の短縮化)、(2) 経時的な相違 (1976年の既存データに対する1994年の測定距離の低下)、(3) 種の特性による相違 (体長と距離の相関性、水鳥 (W1) と都市鳥 (U) の分布状況と位置の変化) で特徴づけられる。以上の結果は、都市域は鳥類にとって必ずしも生息しにくいだけの環境ではなく、有効な側面を持っていることを示しており、その結果に基づき、人間と鳥類との共存関係について考察した。