著者
浅野 文彦
雑誌
科学研究費助成事業研究成果報告書
巻号頁・発行日
pp.1-6, 2019-05-31

接地点の摺動と身体内部の揺動が生む間接励起の効果を利用した新しい匍匐型移動ロボット、および関連する劣駆動移動ロボットシステムの運動生成と制御に関して、主に以下の理論的研究成果を得た。ロボットの円弧状の本体フレーム内部に取り付けた揺動質量を高周波振動させることで、低摩擦な下り緩斜面あるいは水平面において安定な匍匐型前進運動を生成可能であることを数値シミュレーションと実機実験を通して示し、その基本的運動特性を明らかにした。また、身体形状の工夫や複数台の連結を通して、高速運動生成等の機能拡張が可能であることを示した。更には、匍匐型移動ロボットを駆動源とした新しい産業機械に関する基礎研究も行った。 研究成果の学術的意義や社会的意義: 本研究は、劣駆動ロボットの身体表面と低摩擦路面との接触点における摺動と身体内部の揺動が生む間接励起の効果を融合することで、悪路に屈しない安定で効率的な新しい移動形態を創出することを主な目的としたものである。運動解析に基づく身体形状や制御の改良を通して、高速で順応性に富む匍匐型前進運動生成が可能となることを理論と実機実験の両面から示し、粘弾性要素の追加や複数台の連結による機能拡張の考察も行った。並行して、低摩擦路面への適応を目指した脚移動ロボットの身体形状や制御方策に関する理論的研究も推進した。更には、匍匐型移動ロボットを駆動源とした新しい自動搬送装置の実現可能性に関する模索も行った。:We addressed the issues on motion generation and control design for crawling-like locomotion robots that utilize the effects of sliding at the ground-contact point and indirect excitation created by internal wobbling and some related underactuated robotic systems, and mainly obtained the following theoretical results. We showed that underactuated robots composed of a circular body frame and its internal wobbling mass can generate stable crawling-like forward motions on low-friction downhill or level surface through numerical simulations and experimental studies, and clarified the fundamental characteristics of the generated motions through motion analysis. In addition, we showed the possibility of functional expansion such as high-speed motion generation through devising the body shape and combining multiple robots. Furthermore, we conducted fundamental studies on industrial machines that utilizes the crawling-like locomotion robot as an actuator.
著者
浅野 文 島谷 幸宏 渡辺 裕二 渡辺 昭彦
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
土木計画学研究・論文集 (ISSN:09134034)
巻号頁・発行日
vol.13, pp.303-312, 1996-08-31 (Released:2010-06-04)
参考文献数
14
被引用文献数
2

都市における鳥類と人間との関係を調べるために、1993年に農村域として小貝川、1994年に都市域として多摩川で、鳥類の避難行動 (逃避行動、回避行動、警戒行動) 開始時の距離を測定した。測定された距離の結果は、(1) 地域による相違 (小貝川に対する多摩川での距離の短縮化)、(2) 経時的な相違 (1976年の既存データに対する1994年の測定距離の低下)、(3) 種の特性による相違 (体長と距離の相関性、水鳥 (W1) と都市鳥 (U) の分布状況と位置の変化) で特徴づけられる。以上の結果は、都市域は鳥類にとって必ずしも生息しにくいだけの環境ではなく、有効な側面を持っていることを示しており、その結果に基づき、人間と鳥類との共存関係について考察した。
著者
原田 祐志 浅野 文彦 田地 宏一 宇野 洋二
出版者
一般社団法人 日本ロボット学会
雑誌
日本ロボット学会誌 (ISSN:02891824)
巻号頁・発行日
vol.27, no.5, pp.575-582, 2009 (Released:2011-11-15)
参考文献数
9
被引用文献数
3 2

We have applied a parametric excitation method to a kneed biped robot with semicircular feet and have shown that the robot can walk sustainably with only knee torque. A swing-leg of the kneed biped robot has similar mechanism to an acrobot, and many acrobots are controlled in inverse direction like ornithoid walking. These suggest that inverse bending of a knee restores more mechanical energy than forward bending, and hence, the ornithoid walking can be more efficient. In this paper, we first compare the forward bending with the inverse bending for a double pendulum, and show by numerical simulation that the mechanical energy of the inverse bending increases more than that of the forward bending like human walking. We then propose a parametric excitation based ornithoid gait for a kneed biped robot, and show sustainably walking by numerical simulation. Finally, we compare parametric excitation based ornithoid gait with parametric excitation based human gait, and we show that ornithoid gait is more efficeint.
著者
浅野 文祐 青江 基 大崎 能伸 岡田 克典 笹田 真滋 佐藤 滋樹 鈴木 栄一 千場 博 藤野 昇三 大森 一光
出版者
特定非営利活動法人 日本呼吸器内視鏡学会
雑誌
気管支学 (ISSN:02872137)
巻号頁・発行日
vol.34, no.3, pp.209-218, 2012-05-25 (Released:2016-10-29)
参考文献数
24
被引用文献数
2

目的.呼吸器内視鏡施行実態と合併症を調査するために,日本呼吸器内視鏡学会は郵送による全国アンケート調査を行った.方法.調査用紙をすべての本学会認定および関連認定の538施設に郵送した.対象. 2010年1年間に施行された呼吸器内視鏡症例(診断的気管支鏡,治療的気管支鏡,局所麻酔下胸腔鏡)で病変,手技別に施行件数,合併症,死亡を症例調査表を使用して調べた.結果. 483施設(89.8%)から回答を得た.診断的軟性気管支鏡施行件数は103,978件で4件(0.004%)の死亡を認めた.病変別の合併症率は, 0.51%から2.06%に分布し,びまん性病変が最も高く,手技別の合併症率は0.17%から1.93%に分布し,鉗子生検が最も高かった.末梢孤立性病変に対する鉗子生検の合併症率は1.79%(出血0.73%,気胸0.63%),肺門縦隔リンパ節病変に対する超音波気管支鏡ガイド下針生検(EBUS-TBNA)の合併症率は0.46%であった.治療的気管支鏡施行件数は3,020件で,金属ステント挿入による出血1件(0.03%)の死亡を認めた.手技別の合併症率は異物除去(2.20%)が最も高かった.局所麻酔下胸腔鏡施行件数は1,563件であった.合併症率は高周波不使用生検(1.86%)が最も高かった. 228施設(47.2%)で気管支鏡および周辺機器の破損を経験していた.結語.呼吸器内視鏡は安全に施行されていたが,新しい手技の合併症についての啓発が必要である.