著者
柚口 貞夫 渡辺 正元
出版者
The Society of Polymer Science, Japan
雑誌
高分子化學 (ISSN:00232556)
巻号頁・発行日
vol.18, no.192, pp.273-278, 1961
被引用文献数
13

過マンガン酸カリーシュウ酸を酸化還元触媒に用い, アクリロニトリル (以下ANと略) の水系沈殿重合を行ない, 触媒濃度, 体単量初濃度および重合温度を変えて, その重合速度と数平均重合度との関係を求めた。その結果<BR>1.重合速度はシュウ酸を過マンガン酸カリの2.5倍モル以上用いた場合に次式で示される。<BR>2.重合温度を10-30℃ に変えてその活性化エネルギーを求めたところ<I>E</I>=9.3kcal/molなる値を得た。<BR>3.数平均重合度は触媒濃度が大きくなるほど低く, 単量体濃度が大きくなるほど高くなる。<BR>また重合温度が高くなるほど低くなる。以上の事実は, ANの重合体が重合系に溶解せず, 生長中のラジカルが重合体中に埋め込まれ1分子的に停止する反応 (burial reaction) を考えに入れると説明することができる。得られた結果について考察を加えた。