著者
谷島 一嘉 平柳 要 丸 瑠璃子 渡辺 直隆 伊藤 雅夫 宮本 晃
出版者
日本大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
1994

本研究は簡単に測定し得るさまざまな心身反応から、フリッカー値、血圧(収縮期・拡張期)、10秒間の選択反応数、10秒間のタッピング数を選び、これらを作業前と作業後で測定することによって、作業による疲労度を疲労スコアとして、直ちに算出・表示する小型・簡便・安価な疲労度の定量化システム(疲労計)を試作する。そして、これに組み込んだ重回帰推定式の妥当性の検討や人間工学的な評価、改良を施し、より実用性のある疲労計としてまとめあげる。これまで、このような簡単な疲労計で複数の心身反応を総合した測定・評価システムは他に類が無く、しかもその主要なロジックである疲労度の算出方法には、これまでの研究成果からの独特のものを採用している。したがって、上記の心身反応を測定すれば、直ちに重回帰推定式によって、作業前に対する作業後の疲労度が疲労スコアとして算出・表示されるしくみである。そして、出力結果としての疲労スコアが0〜9であればほとんど疲労していない状態、10〜19ではやや疲労した状態、20〜49ではかなり疲労した状態、50以上では極度に疲労した状態の4段階で評価される。最近、健康管理の面から作業者の疲労度を数的に把握するのに、簡単な操作で比較的信頼できる結果が得られる安価な疲労計を希望している職場が多いためこの疲労計は非常に広い応用・需要が期待される。したがって、本研究で開発された疲労度の簡易定量化システム(疲労計)の実用化の見通しはきわめて高いと思われる。今後、さらに看護婦の疲労の測定などで実地に使いながら、簡易疲労計としての信頼性の向上、使い勝手の良さなどを中心に、さらに検討して行く。