著者
井上 勉 渡辺 裕輔 野平 由香 新井 鐘大 佐藤 貴彦 菊田 知宏 小林 和裕 池田 直史 鈴木 洋通
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.97, no.12, pp.3049-3051, 2008 (Released:2012-08-02)
参考文献数
4
被引用文献数
1 1

56歳,女性,腹膜透析患者,3年前よりうつ病あり塩酸トラゾドンを使用していた.徐々に増悪した嘔気,嘔吐,水様下痢を主訴に救急外来を受診,血圧202/86mmHg,ミオクローヌスも認めたが原因は不明であった.入院後,経口薬剤を中止してから血圧は次第に下降し,消化器症状も改善した.頭部および胸腹部CT,上部消化管内視鏡で器質的疾患は否定された.これら臨床経過から塩酸トラゾドンによるセロトニン症候群の可能性が示唆された.
著者
粟屋 牧子 加藤 修一 狩野 契 渡辺 裕輔 岡田 浩一 鋤柄 稔
出版者
一般社団法人 日本透析医学会
雑誌
日本透析医学会雑誌 (ISSN:13403451)
巻号頁・発行日
vol.52, no.6, pp.343-348, 2019 (Released:2019-06-28)
参考文献数
18

がんだけではなく非がん疾患も含めた終末期の血液透析患者において, 呼吸困難は頻度が高く苦痛が大きい症状である. 呼吸困難の緩和のためにオピオイドが用いられることがあるが, 透析患者では代謝物の蓄積による副作用の懸念から, 使用成績についての報告が少ない. 今回われわれは, 呼吸困難を訴えたがんおよび非がん疾患終末期の血液透析患者7症例に対して, 呼吸困難の緩和を目的にオキシコドンを経口あるいは持続皮下注射で投与した. 開始時の平均投与量は注射換算で3.8mg/日, 平均最大投与量は19.7mg/日であった. Support Team Assessment Schedule日本語版における評価で, オキシコドン投与により呼吸困難の有意な改善を認めた. 呼吸抑制など有害事象の発現はなく安全に使用可能であった. 少量から漸増して投与することで, オキシコドンは血液透析患者にも比較的安全に使用することが可能であり, 呼吸困難の緩和に有効な治療選択肢の一つになり得る.