著者
渡辺 覬修
出版者
神戸学院大学
雑誌
一般研究(C)
巻号頁・発行日
1993

関西所在の裁判所で、甲山事件はじめ大小の事件の裁判傍聴を行い、手続の様々な段階における被告人の手続からの疎外状況を把握した。その中で、逮捕勾留中の取調べが病理を生む大きな原因であることを、実例を通じて確認する作業を続けた。また、これを克服する弁護活動の実情調査等について、理論面の検討を含めて、まとめた。各地で継続する聴覚障害者被告事件を積極的に傍聴するとともに、担当の弁護士、手話通訳者と研究交流会を各傍聴の毎にもつように務めた。裁判所サイドが考えている公正な手続・公正な通訳保護のあり方と、聴覚障害者の側なり手話通訳の側からみたそれとの食い違いがあるか・ないか、実務がどのあたりで落ち着こうとしているのか、検討結果を論文にまとめた。外国人事件の傍聴と、事件関係者、弁護士などとの面接・調査などもすすめた。とくに、外国人事件と量刑のありかたを巡り、刑罰の意味を含めた検討作業を実例を通じて進めた。全体として、被疑者・被告人の権利の主体性を法解釈面から支えるまとめの作業を行った。