著者
渡辺 隆司
出版者
一般社団法人 日本木材学会
雑誌
木材学会誌 (ISSN:00214795)
巻号頁・発行日
vol.53, no.1, pp.1-13, 2007 (Released:2007-01-31)
参考文献数
92
被引用文献数
13 9

バイオリファイナリーとは,バイオマスから燃料,エネルギー源,化学品を化学産業,エネルギー産業として体系的に生産することであり,20世紀に発達した石油化学工業を,根本的に変える新しいコンセプトである。原料となるバイオマスは,植物の光合成による二酸化炭素の固定化によって作られるため,地球温暖化と資源枯渇問題の切り札になると期待されている。近年,バイオマス由来のエタノールやその他の有用化学品の生産に関する研究が急展開しており,米国エネルギー省(DOE)ではバイオリファイナリーの核となる基幹化合物(プラットフォーム化学品)を12種選定し,新しい化学産業の創成に向けた研究開発が活発に行われている。ここでは,バイオリファイナリーのプラットフォーム創成に向けた動きと,リグノセルロース変換のための白色腐朽菌を利用した生物的前処理法を紹介する。