著者
森 克己 山田 理恵 渡邉 修希 蔭山 雅洋
出版者
一般社団法人 日本体育学会
雑誌
日本体育学会大会予稿集
巻号頁・発行日
vol.69, pp.276_1, 2018

<p> 高校野球は、日本固有の形態をもつスポーツ文化である。また、高校球児=丸刈りというイメージが広く国民全般に定着している。例えば、2016年3月に開催された選抜高等学校野球大会に21世紀枠で出場し選手宣誓した小豆島高校の主将が長髪であったことが大きな話題となったように、他の競技では選手の頭髪が自由であるのに対し、野球だけが選手の頭髪は丸刈りであることが当然視されている。このことは、高野連には高校球児の頭髪を丸刈りとする明文の規定がないにもかかわらず、高校の野球部員や指導者が高校球児=丸刈りという慣習法的なルールにとらわれてきた結果であると考えられる。また、その背景には、精神の鍛練がスポーツの重要な使命であることを説いた飛田穂洲の著作の中にみられる選手の頭髪についての記述のように、野球を単なるスポーツではなく精神修養を伴う「野球道」の思想等とも関連づける考え方の存在があると言える。以上のことを前提として、本研究では、高校球児の髪型=丸刈りという慣習法が成立した経緯やその慣習法の成立構造について、文献・資料及びアンケート調査結果に基づき考察する。</p>