著者
松本 雄一 丸田 沙織 駒場 あすか 柘植 圭介 渡邉 啓一
出版者
一般社団法人 園芸学会
雑誌
園芸学研究 (ISSN:13472658)
巻号頁・発行日
vol.20, no.2, pp.217-223, 2021 (Released:2021-06-30)
参考文献数
30
被引用文献数
1

血糖値の上昇抑制などの機能が期待されるイヌリンを豊富に含むキクイモについて,収穫期間中のイヌリンおよびカリウム含量の推移について調査を行い,収量の推移と併せてイヌリン含量が高くかつカリウム含量が低くなる収穫適期を検討した.イヌリン含量は11月から12月にかけて急激に減少した.一方カリウムは11月から1月にかけて増加傾向にあった.これらの結果から,九州地域におけるキクイモの収穫適期は11月上旬など収穫始めの時期と考えられた.また,収穫後の貯蔵方法について検討を行った結果,低温貯蔵ではイヌリン含量の低下を抑制できないものの,カリウム含量の増加は抑制できた.このことから,低温貯蔵はキクイモ消費時のカリウム摂取量の抑制のためには有効と考えられた.
著者
松本 雄一 内田 将太 福本 有香 金屋 紗弥 平野 彩夏 渡邉 啓一
出版者
一般社団法人 園芸学会
雑誌
園芸学研究 (ISSN:13472658)
巻号頁・発行日
vol.20, no.2, pp.233-239, 2021 (Released:2021-06-30)
参考文献数
25

キクイモ栽培における重要課題である白絹病の抑制技術について検討を行った.培地での白絹病菌叢の伸展程度および培土でのキクイモ発病度は,いずれもpH 8以上の条件で抑制効果が見られた.一方,「野菜類」作物群に登録のある殺菌剤を添加した培地では,水和硫黄剤の2剤で菌叢の伸展が抑制された.土壌混和が可能な資材のうち水和硫黄剤の主成分である硫黄を含む肥料においても培地での菌叢伸展の抑制および培土でのキクイモ発病度の抑制効果が見られた.この硫黄資材を汚染圃場に施用したキクイモ栽培においても生育中の白絹病による枯死株率は低下した.さらに,系統間での耐病性の比較においては,三瀬在来系統よりもサンフラワーポテト系統の方が枯死株率は低く,耐病性を有していると考えられた.これらの結果から,キクイモ栽培において硫黄資材の施用と耐用性系統を併用することで,キクイモ白絹病に対する抑制効果を高められる可能性が考えられた.