著者
渡邊 啓文 船越 公威
出版者
日本哺乳類学会
雑誌
哺乳類科学 (ISSN:0385437X)
巻号頁・発行日
vol.57, no.2, pp.323-328, 2017 (Released:2018-02-01)
参考文献数
33

大分県南東部の隧道内天井は,2013年~2017年の春~夏季の調査でテングコウモリMurina hilgendorfiとノレンコウモリMyotis bombinusの活動期のねぐらとして利用されていた.テングコウモリは5月~6月に10頭前後の個体が密集した集団を形成していた.この群塊は妊娠後期から末期に入った雌の集団であり,九州では初めての発見である.群塊体表の温度は単独個体よりも高く高体温を保持しており,胎児の成長促進に寄与していることが示唆された.テングコウモリは妊娠末期に移動して,他所で出産・哺育すると考えられる.