著者
下河内 洋平 井川 貴裕 渡邊 有実 油谷 浩之 井口 理 内田 靖之 楠本 繁生
出版者
日本トレーニング指導学会
雑誌
トレーニング指導 (ISSN:24336742)
巻号頁・発行日
vol.1, no.1, pp.4-9, 2014 (Released:2020-03-30)
参考文献数
17

本研究はハンドボールにおいてシュートを打つ時の踏切脚と非踏切脚による片脚リバウンドジャンプの遂行能力と、両脚を用いたスクワット1RM(SQ1RM)及びスクワットジャンプ最大パワー値(SQJP)との関係性を検証した。19人の大学女子ハンドボール選手が本研究に参加した。彼女らは異なった負荷を用いてバックスクワットとスクワットジャンプを行い、SQ1RMとSQJPを決定した。また、測定参加者は片脚リバウンドジャンプ(RJ)をマットスイッチの上で10回行い、その時の接地時間、跳躍高、RJ指数(跳躍高/接地時間)をRJ遂行能力の指標として測定/算出した。各RJ遂行能力の指標をSQ1RMまたはSQJPで予測する直線回帰分析を、踏切脚と非踏切脚別々に行った。その結果、踏切脚においてはSQ1RM (R2 = 0.235~0.454, p < 0.05)とSQJP (R2 =0.238~0.426, p < 0.05)がより高いほど、跳躍高とRJ指数がより高く、接地時間がより短い関係性が示された。一方、非踏切脚においては、有意な関係性はSQ1RMとRJ指数の間にのみ見られた(R2= 0.158, p < 0.05)。これらの結果は、女子ハンドボール選手においては、SQ1RMとSQJPは踏切脚のRJ遂行能力のみ反映していることを示している。よって、これらの選手の下肢の筋力及び筋パワーを評価するためには、片脚スクワット1RMや片脚スクワットジャンプパワーを高精度で測定する方法を確立する必要がある。また、本研究結果は、下肢神経筋機能の左右不均衡を有する選手が両脚を効率的に鍛えるためには、より片脚での閉鎖性運動連鎖による運動をトレーニングプログラムにおいて強調する必要性があることを示している可能性がある。