著者
鶴岡 浩志 渡邊 洋平 朝長 啓造
出版者
動物臨床医学会
雑誌
動物臨床医学 (ISSN:13446991)
巻号頁・発行日
vol.14, no.3, pp.105-108, 2005 (Released:2007-11-13)
参考文献数
14

2歳齢,雌の雑種猫が左後肢の破行を主訴として来院した。消炎鎮痛剤の投与を行うものの,病状は進行した。初来院から3日後,食欲不振,左前肢挙上で再来院した。この時点での血液検査では特に異常は認められなかった。脳炎を疑い,プレドニゾロン,抗生剤の投与を始めたが,7日後には起立不能,採食不能となった。経鼻カテーテルを設置し,強制給餌により維持していたが,全身の麻痺は進行し,10日後には自力排尿も困難となり,11日目に全身麻痺のため死亡した。病理検査では大脳の表面に非化膿性の髄膜炎が認められた。抗体検査ではボルナウイルス抗体が検出された。大脳組織を用いたRT-PCRによりボルナウイルス遺伝子が検出された。このことから本症例はボルナ病ウイルス感染症であることが強く示唆された。
著者
田村 慎司 田村 由美子 鈴岡 宣孝 大岡 恵 長谷川 孝寿 内田 和幸 渡邊 洋平 朝長 啓造
出版者
動物臨床医学会
雑誌
動物臨床医学 (ISSN:13446991)
巻号頁・発行日
vol.15, no.2, pp.49-52, 2006 (Released:2007-11-14)
参考文献数
14

急性の脳幹・辺縁系症状を呈した猫が,各種検査で広範な脳炎と診断された。安楽死後,通常の病理組織学的検査により,MRIで炎症像が認められた部位に一致したクリプトコッカス脳炎と診断された。血清中の抗ボルナ病ウイルス(BDV)抗体が陽性だったため,脳組織を免疫染色したところ,MRIおよびH&E染色による病理組織学的検査でともに異常が認められなかった小脳・橋・延髄の神経細胞内に免疫染色でBDV抗原が検出され,BDV感染が確認された。