著者
渡邊 章好
出版者
日本管理会計学会
雑誌
管理会計学 : ⽇本管理会計学会誌 : 経営管理のための総合雑誌 (ISSN:09187863)
巻号頁・発行日
vol.21, no.1, pp.11-20, 2013-03-31 (Released:2019-03-31)
被引用文献数
3

本稿では,ゲーム理論を応用し,実務の説明理論構築を志向した分析的研究について,その意図と,それが管理会計の領域にもたらす貢献を明らかにする.伝統的に,このような分析的研究としてはエージェンシー理論を応用した研究が想定され,特に業績管理会計に関連するテーマを分析してきた.しかし,近年,戦略管理会計,特にポジショニング・アプローチのように市場における企業間の関係を対象とするテーマが増えてきたが,このようなテーマの分析には産業組織論の応用が有用である.そして,いずれにせよ,分析的研究は,伝統的知見の拡充を意図しており,管理会計教育への貢献を第一に考えていると言える.また,革新的な技法を提供することや,業績を改善するための方策を示すことはないが,分析的研究は教育を通した実務へ貢献も重視している.さらに,分析的研究が実務との関連を強めるために,それ以外の研究方法との連携を重視しなければならず,その点にも言及する.
著者
渡邊 章好
出版者
日本原価計算研究学会
雑誌
原価計算研究 (ISSN:13496530)
巻号頁・発行日
vol.40, no.1, pp.98-109, 2016 (Released:2017-04-14)

予算と実績との間に差異が生じる場合,非効率な資源配分による損失が生じる恐れがある.本論文では,経営者がこのような損失を意識して実現性の高い予算の編成を望む場合,予算達成度に応じて管理者に支払われる報酬に上限を設ける必要があり,かつ,緩やかな水準に予算が設定される点を明らかにする.