著者
飯塚 隼光 古井 健太郎
出版者
日本原価計算研究学会
雑誌
原価計算研究 (ISSN:13496530)
巻号頁・発行日
vol.46, no.2, pp.40-52, 2022 (Released:2022-09-03)
参考文献数
13

本研究の目的は管理会計不在の研究を入り口として,管理会計がないと思われるような中小製造企業の事例をもとにシンプルな管理会計のあり方について考察することにある。事例企業における管理会計実践を分析し,なぜ管理会計がシンプル足りうるのかを提示するとともに,今後の研究の方向性を提示する。
著者
森光 高大 片岡 洋人 岡田 幸彦
出版者
日本原価計算研究学会
雑誌
原価計算研究 (ISSN:13496530)
巻号頁・発行日
vol.42, no.1, pp.110-122, 2018 (Released:2021-09-15)
参考文献数
31

本稿は,筆者らが 2016 年 6 月から実施した日立製作所における調査・社内資料収集をもとに,当社の「超総原価計算制度」を採りあげ検討する。これは,販管費だけでなく,利子をはじめとする営業外費用を製品単位に配賦するなど,製品原価計算の一般論と異なる特徴を持つ。本稿の検討の結果,当該原価計算は,製品原価の集計のみならず,恒常的に価格決定や製品軸での採算把握に資する情報をも提供していることが明確になった。
著者
浅田 拓史 吉川 晃史 上總 康行
出版者
日本原価計算研究学会
雑誌
原価計算研究 (ISSN:13496530)
巻号頁・発行日
vol.40, no.2, pp.154-166, 2016 (Released:2017-04-17)
被引用文献数
4

本稿では,株式会社小松製作所における経営改革事例の分析を通じて,その成功要因として,経営者による危機意識の醸成とビジョンの提示,TQC による現場知識の存在とSVM 管理の親和性,結節点としての会計部門の役割を明らかにした。とりわけ会計部門がナレッジ・エンジニアとして行為することが知識創造としての管理会計変化を促進することを示した。
著者
井岡 大度
出版者
日本原価計算研究学会
雑誌
原価計算研究 (ISSN:13496530)
巻号頁・発行日
vol.38, no.2, pp.113-123, 2014 (Released:2017-04-17)

トヨタ生産方式におけるジャスト・イン・タイムの重要な側面としてリードタイム短縮があげられるが,その改善活動の効果を財務数値と結びつけものとして,田中正知氏により提唱された理論が「Jコスト論」である。本稿では,この「Jコスト論」が資金の時間価値の考慮について,その評価が単利計算によるものであることを計算構造の観点から明らかにし,その展開として,連続複利による複利計算を前提とし,リードタイム等の短縮による効果の分析のための評価方法について提案・検討するものである。
著者
池側 千絵
出版者
日本原価計算研究学会
雑誌
原価計算研究 (ISSN:13496530)
巻号頁・発行日
vol.45, no.2, pp.68-80, 2021 (Released:2022-03-31)
参考文献数
15

近年,世界各国の管理会計担当者について研究が進んでおり,ビジネスパートナーとしての役割変化が報告されている。本研究では,質問紙調査により日本企業の管理会計担当者が果たしている役割,利用している知識・スキルを抽出し,支援する組織業績への貢献知覚との関連性を分析することにより,実務において管理会計担当者が組織業績の向上に貢献するための方策を考察した。
著者
澤邉 紀生
出版者
日本原価計算研究学会
雑誌
原価計算研究 (ISSN:13496530)
巻号頁・発行日
vol.37, no.1, pp.16-28, 2013 (Released:2017-04-17)
被引用文献数
1

管理会計において研究者の科学知と実務家の実践知を媒介する臨床知を集積し体系化する「場」として,臨床会計学の構想を提示する。臨床知のふたつの系譜について確認したうえで,構成論的アプローチによって設計・実施しているメタ・フィールドワークから得た知見を「固有世界」「身体性を伴った行為」「多義性」の3つの原理を鍵に説明する。
著者
庄司 豊
出版者
日本原価計算研究学会
雑誌
原価計算研究 (ISSN:13496530)
巻号頁・発行日
vol.44, no.2, pp.63-76, 2020 (Released:2021-09-15)
参考文献数
19

本稿では,異なる意思決定環境のもとで,フィードバック及びフィードフォワードコントロール,またこれらのコントロールの併用が組織の成果にどのように影響するのかについて,環境の変動度や意思決定の相互依存性によって有効なコントロールが異なること,また,フィードバック・フィードフォワードコントロールの併用が特に有効になる状況とその理由を示した。
著者
横田 絵理 乙政 佐
出版者
日本原価計算研究学会
雑誌
原価計算研究 (ISSN:13496530)
巻号頁・発行日
vol.40, no.2, pp.125-138, 2016

管理会計研究の進展によって,新たに管理会計技法が発掘・開発される一方,マネジメント・コントロールのとらえ方も拡張されている。本研究では,近年のわが国の管理会計研究を対象とした文献分析を通じて,マネジメント・コントロールの主要なフレームワークと,管理会計研究技法との対応関係の現状を明らかにした上で,今後の課題を提示する。
著者
佐々木 郁子 岡崎 路易 大浦 啓輔
出版者
日本原価計算研究学会
雑誌
原価計算研究 (ISSN:13496530)
巻号頁・発行日
vol.39, no.1, pp.1-10, 2015-03

本研究は,震災発生後の管理会計の実態,平常時と復旧/復興期の管理会計の役割や重要性の相違について実態調査を行った。その結果,震災後も管理会計は使用されたが,使用する目的の重要性の変化や震災時特有の使われ方があることが明らかになった。
著者
加藤 典生 小林 英幸
出版者
日本原価計算研究学会
雑誌
原価計算研究 (ISSN:13496530)
巻号頁・発行日
vol.45, no.1, pp.14-24, 2021 (Released:2022-03-31)
参考文献数
23

従来の原価企画は主として会計的立場(コントロールする側)からの検討であり,エンジニアの立場(コントロールされる側)からの検討は十分であるとはいえない。本稿では,トヨタ自動車における原価企画を題材にし,会計的立場から見た適切な環境の整備が,エンジニアの立場から見た場合,必ずしもそうであるとはいえないことを明らかにする。
著者
古賀 健太郎
出版者
日本原価計算研究学会
雑誌
原価計算研究 (ISSN:13496530)
巻号頁・発行日
vol.44, no.2, pp.112-123, 2020 (Released:2021-09-15)
参考文献数
23

企業が予め戦略を決めているという,マネジメント・コントロールの前提には,概念的,実務的に限界がある。むしろ,意図しない戦略が発現するインターアクティブ・コントロールの比重は重い。質問票調査によると,経営会議がインターアクティブ・コントロールの必要条件を満たさなかった企業は多く,意図しない戦略が発現する機能を実務家はもっと重視するべきである。
著者
柊 紫乃 上總 健行
出版者
日本原価計算研究学会
雑誌
原価計算研究 (ISSN:13496530)
巻号頁・発行日
vol.41, no.1, pp.76, 2017 (Released:2021-09-15)
参考文献数
28
被引用文献数
1

従来の原価計算では,物量に関わる改善効果は金額測定が容易であるが,労務費や製造間接費等の時間の短縮に起因する改善効果の測定は難しいと指摘されてきた。本稿では,これらの改善効果の金額測定を可能にするため,製造現場における 2 種類の時間概念を詳細に検討し,改善効果の見える化を可能にする現場改善会計を提示する。
著者
三浦 紘嵩
出版者
日本原価計算研究学会
雑誌
原価計算研究 (ISSN:13496530)
巻号頁・発行日
vol.46, no.2, pp.79-91, 2022 (Released:2022-09-03)
参考文献数
25

本研究は,小規模飲食業の事例分析をつうじて,コロナという厳しくかつ予測できない事象によって環境の不確実性が高まり,それによってキャッシュ・フローが悪化した状況において,その状況で生じた要因に対応するためにキャッシュ・フロー管理がおこなわれるようになったこと,また,債権管理や資金予算といった管理の方法が利用されるようになったことを明らかにした。
著者
岩澤 佳太
出版者
日本原価計算研究学会
雑誌
原価計算研究 (ISSN:13496530)
巻号頁・発行日
vol.46, no.1, pp.74-87, 2022 (Released:2022-09-03)
参考文献数
30

本研究の目的は,工場経理部門の提供するサービスが,製造部門のコストマネジメント活動におよぼす影響の解明にある。インタビューおよび社内アンケート調査を実施した結果,工場経理部門の高いサービス品質が,製造部門の原価情報の活用を進めると共に,インタラクションを活性化させ,ひいては生産パフォーマンスを向上させることを示した。
著者
水野 真実
出版者
日本原価計算研究学会
雑誌
原価計算研究 (ISSN:13496530)
巻号頁・発行日
vol.45, no.2, pp.1-13, 2021 (Released:2022-03-31)
参考文献数
24

本稿では,医療機関に時間主導型活動基準原価計算を適用するため,手術麻酔人件費を対象とし,DPC データから経済的に抽出が可能である患者別麻酔時間を配賦基準とする TDABCモデルを開発した。このモデルが,患者別に異なる医療資源の消費実態を反映し,患者別収益性や医師別業務実績の分析に有益な情報を提供できる可能性について,アーカイバルデータ分析やインタビューにもとづいて考察した。
著者
柊 紫乃 上總 康行
出版者
日本原価計算研究学会
雑誌
原価計算研究 (ISSN:13496530)
巻号頁・発行日
vol.40, no.2, pp.72-86, 2016 (Released:2017-04-17)
被引用文献数
4

生産現場の改善効果は,経済成長期であるか停滞期・減退期であるかにより,現れ方が異なり,必ずしも原価低減額として把握できない。本稿では,いかなる経済環境の下でも,改善効果をより十全に貨幣的に測定するために,機会損失の概念を持ち込み,独自の改善ステップにより,改善効果を見える化できる計算事例を提示する。
著者
山本 浩二
出版者
日本原価計算研究学会
雑誌
原価計算研究 (ISSN:13496530)
巻号頁・発行日
vol.36, no.1, pp.1-9, 2012 (Released:2017-04-17)
被引用文献数
2

本稿では,原価計算の生成と発展を回顧し,歴史的な発展における新たな原価計算の提唱イベントを振り返るとともに,そこで追求されてきた原価計算思考を価値移転的原価計算として明確にすることによって原価計算に対する実務からの役割期待を再確認し,そのうえで今後の原価計算に求められる内容として,現代の製造環境と戦略を反映した価値創造的原価計算のフレームワークの試論を提示する。
著者
木下 和久
出版者
日本原価計算研究学会
雑誌
原価計算研究 (ISSN:13496530)
巻号頁・発行日
vol.30, no.1, pp.65-75, 2006 (Released:2017-04-17)
被引用文献数
1

製品の欠陥に対するリコール対策に失敗することで,企業の存続を危うくする程致命的な業績悪化がもたらされる。リコールについて再検討を行なうとともに,事例を利用してリコール対策の失敗からもたらされる業績悪化について時間管理の側面から検討を行なう。
著者
諸井 勝之助
出版者
日本原価計算研究学会
雑誌
原価計算研究 (ISSN:13496530)
巻号頁・発行日
vol.23, no.2, pp.1-15, 1999-03-15 (Released:2017-04-17)
被引用文献数
2