著者
渡部 数樹 中村 英樹
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集D3(土木計画学) (ISSN:21856540)
巻号頁・発行日
vol.71, no.5, pp.I_889-I_901, 2015 (Released:2015-12-21)
参考文献数
18
被引用文献数
7

本論文では,交通事故削減に向けた効率的な安全対策実施を目標として,道路交通や社会環境条件と事故発生との関係について事故類型別に統計モデル分析を行った.分析にあたっては,事故データに道路交通状況等の各種情報をGIS上で付与したデータベースを構築し,事故発生頻度を被説明変数とした負の二項分布回帰分析より影響要因の特定を試みた.分析結果より,幹線道路の事故発生頻度と混雑時平均旅行速度や交差点間距離が密接な関係にあることや,非幹線道路では道路幅員や用途地域等の要因が事故類型間で異なることを示した.さらに,非幹線道路の事故は旅行速度の低い幹線道路に近い位置で多発する傾向を示唆した.分析結果をふまえ,幹線道路の円滑性向上や階層化された道路ネットワークの再構築による安全性向上について考察した.