著者
湯川 竜二
出版者
公益社団法人 日本雪氷学会
雑誌
雪氷 (ISSN:03731006)
巻号頁・発行日
vol.33, no.3, pp.131-133, 1971

シンポジウムの趣旨ならびにまとめについては上述したとおりである。<BR>新幹線における雪氷害の現象, その対策の概要について斎藤氏から, 着雪現象の物理, ならびに散水量と濡れ雪の効果について荘田氏から, また散水設備について石橋氏から, それぞれ経験, 現象の解析, 実験結果等の各角度から詳細な論述と討論が行なわれた。高速自動車交通における視程の問題について土屋氏から, 道路の凍結現象について井上氏から, すべりの機構について市原氏から論述があり, それらの対策についてそれぞれ討論があった。降雪の質, 量, 凍結状況等の測定方法ならびにその情報伝達系について馬場氏, 樋口氏, 荘田氏からそれぞれ論ぜられた。樋口氏の雪雲の観測実験の報告は, 局所的かつリアルタイムの降雪予報体制の確立へ進むものとして多大の関心を呼んだ。更に, 関ケ原地区における気象の特性, 局地的な降積雪の予測について石原氏から詳述され, 高速陸上交通における降雪予報のリアルタイムの情報管理体系について石原氏, 樋口氏および馬場氏から解説と論述が行なわれた。さらに降積雪地帯における高速道路の交通管理のあり方についての大島氏, 巻島氏からの論述, ならびに, 北陸, 東北等の高速道路の計画, 建設における問題点について, 路線の選定, 降積雪から防護方法等について述べられた。<BR>以上, 今次のシンポジウムは, 高速陸上交通における雪氷害の現象の解析と, その対策の樹立について, 今日的問題の究明と, 明日への課題について, 体系的に論ぜられ, Research, Survey, Practice, Engineering, の共同と相互のフィードバックがこの種の問題の解決を加速するという恰好の例を示したものといえるであろう。