著者
土屋 晴文 榎戸 輝陽 湯浅 考行
出版者
国立研究開発法人理化学研究所
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2015-04-01

本研究では、雷の発生や雷雲が上空を通過する時に、ガンマ線のみならず中性子や電子の反物質である陽電子がどのようにして生成されるのかを明かすことを目的としていた。そのため、冬に雷が頻発する日本海沿岸の柏崎刈羽原子力発電所構内において、雷や雷雲からの放射線の観測を実施してきた。2017年2月に発生した雷に伴い、発電所の構内に備えたわれわれの検出器が雷の発生から100 ms ほど続く強烈なガンマ線と陽電子の兆候を示す信号を捉えた。詳細な解析により、雷の中でガンマ線と大気中の窒素との間で光核反応と呼ばれる核反応が発生し、中性子や陽電子の起源となることを世界で初めて実証した。