著者
満塩 勝 東 修作 肥後 盛秀
出版者
公益社団法人 日本分析化学会
雑誌
分析化学 = Japan analyst (ISSN:05251931)
巻号頁・発行日
vol.52, no.6, pp.433-438, 2003-06-05
参考文献数
17
被引用文献数
5 14

露出させた光ファイバーのコア上に金を45 nm蒸着し,表面プラズモン共鳴現象(SPR)を利用するセンサーを用いて,角度変化や波長掃引の必要がない屈折率測定装置を構築した.そして,様々なアルコールの定量分析により装置の性能評価を行った.フェネチルアルコールを用いて応答時間と検出限界に関する検討を行ったところ,0.4分以内に0.5体積% 以下,屈折率0.0012の変化を検出できた.濃度と透過光強度の関係から,0~5% の濃度範囲において傾きが負で相関係数0.998の検量線が得られた.60% のエタノール水溶液を5回測定した際の相対標準偏差は2% であった.12種類のアルコールの濃度に対する透過光強度の関係は,各々のアルコールで異なった曲線となったが,屈折率に対する透過光強度の関係は,すべてのアルコールに対して屈折率約1.37に最小値を持つ曲線になった.この最小値を示す屈折率は,金薄膜の膜厚に依存し,目的とする試料の屈折率に応じてその膜厚を変えることにより,最適な応答特性を持つセンサーを作製できることが分かった.<br>