著者
中井 健太郎 山本 修太郎 友岡 知加 井上 めぐみ 古原 千明 宿理 朋哉 髙江 啓太 谷口 拓也 池田 綾 小江 雅弘 満生 浩司
出版者
一般社団法人 日本透析医学会
雑誌
日本透析医学会雑誌 (ISSN:13403451)
巻号頁・発行日
vol.53, no.2, pp.61-69, 2020 (Released:2020-02-28)
参考文献数
24

透析患者の心臓手術においてガイドラインに即した周術期プロトコールを作成し, 多職種が連携して管理を行ってきた. 当院における周術期合併症を調査することによりプロトコールの検証を行った. 2016年から2018年に心臓手術を行った症例のうち大血管の同時手術を除く128例を対象として, 維持透析29例 (透析群) と, 非透析群99例を比較検討した. 心臓手術の内訳は, 大動脈弁置換術および冠動脈バイパス術が最も多く, 両群間で差を認めなかった. 入院中死亡は透析群で2例 (7%), 非透析群で3例 (3%) であり有意差を認めなかった. 術後在院日数は透析群で有意に長く (30.7日 vs. 23.3日), 予定外の体外循環を要した割合は透析群で有意に高率であった (17% vs. 1%). ただし, CABG単独においては, 術後在院日数, 予定外の体外循環は両群間で同等であった. 特に弁膜症手術に際しては, 予定外の体外循環を減らし入院期間を短縮するため, さらなる検討を行っていきたい.
著者
藤方 史朗 満生 浩司 原田 篤実
出版者
一般社団法人 日本透析医学会
雑誌
日本透析医学会雑誌 (ISSN:13403451)
巻号頁・発行日
vol.39, no.4, pp.269-273, 2006

当院で外来血液透析を施行中の非感染患者72名を対象とし, 同意書をとって透析前後で血清1-3-β-D-glucan値を測定した. 透析膜は, 再生セルロース膜 (CL-EE12Nテルモ社製) 33例, セルローストリアセテート膜 (FB-70ニプロ社製) 14例, 合成高分子膜では, ポリスルホン膜 (BS-1.3東レメディカル社製) 20例, EVAL膜 (KF-15Cクラレ社製) 5例であった.<br>透析前の1-3-β-D-glucan値は, 再生セルロース膜群が649±435pg/mLで, セルローストリアセテート膜群の13±9pg/mL, 合成高分子膜群の26±18pg/mLとくらべて著明に高値であった (p<0.0001). 透析前後の1-3-β-D-glucan値の比較では, 再生セルロース膜群で649±435pg/mLから1,091±833pg/mLと透析前よりさらに上昇した (p<0.001) が, 合成高分子膜群やセルローストリアセテート膜群では, 透析前後で変化しなかった. 再生セルロース膜群では透析前1-3-β-D-glucan値と透析期間との間に有意な正の相関がみられた. 再生セルロース膜使用症例では, 非感染時でも1-3-β-D-glucan値は著明高値を示し, 真菌感染症の診断に適さないと考えられた. また, 合成高分子膜群でも軽度高値を示し診断に留意が必要である.