著者
源氏田 憲一
出版者
日本グループ・ダイナミックス学会
雑誌
実験社会心理学研究 (ISSN:03877973)
巻号頁・発行日
vol.51, no.2, pp.118-129, 2011 (Released:2012-03-24)
参考文献数
35

本研究は,ソーシャル・サポート(SS)受領が他者からの受容の認知に媒介されて精神的健康への(主)効果を持つという変数間の関連を,ソシオメーター理論を応用することでモデル化し,横断データにより検討した。さらにこれをネガティブな行為である否定的相互作用(NI)にも拡張し,同時に検討した。研究1では周囲の人からのSS/NIが,周囲に対する受容の認知を媒介して受け手の精神的健康に影響することが示された。研究2では特定の個人との関係性の安定的な認知を統制しても,その人からのSS/NIが,その人からの受容の認知を媒介して受け手の精神的健康に影響することが示された。しかし特性自尊心を統制した上で研究1,2の分析を行ったところ,SS/NIから受容の認知への効果は有意だったが,受容の認知から精神的健康への効果は消失した。これらのことから,SS/NI行為の認知は受容の認知と関連するが,それが精神的健康につながるプロセスは自尊心が深く関わっている可能性が示唆された。