著者
溝渕 信定
出版者
福知山公立大学
雑誌
京都短期大学紀要 (ISSN:13483064)
巻号頁・発行日
vol.31, no.1, pp.1-12, 2003-03-15

貨幣を獲得することは、今日の社会では必要不可欠の行動です。しかし、貨幣を獲得することだけで「豊かな」ことではないはずです。わたしたちはよく「豊かになった社会」とか「豊かな生活」といいますが、どこが豊かなのか、また、真の豊かさというのが何なのかということについて福祉経済学-本来の経済学-の立場から考えることにしました。本当に豊かだといえるには、人によって異なるのは当然ですが、人として生きていく時、欠かしてはいけないもの、忘れてはいけないものをしっかりと持ち、生活を楽しめることであります。またそのようなことが可能な社会が、豊かな社会ではないかと思います。お互いが認め合う共存社会であります。お互いの認識があれば、規則や現制は要らない社会のはずです。「豊かな社会」とは、生産によってのみ得られるものではなく、質の高い生産を生み出す社会です。
著者
溝渕 信定
出版者
福知山公立大学
雑誌
京都短期大学論集 (ISSN:02866390)
巻号頁・発行日
vol.29, no.1, pp.17-25, 2001-03-15

福祉国家という言葉は存在していたが,福祉経済という言葉はありそうでなかった。なぜかと考えてみるに経済学は,その語源である「経世在民」という言葉が示すように,世を治め,人民を救う。すなわち幸せな社会の創造と人々の安らかな生活を実現することなのである。福祉の目的としているものと同じなのである。経済という言葉は,多くの人々に貨幣の獲得や,生産の増大として理解されているが,それ自体に問題がある。ちょうどわが国が,抱えている問題でもあるのである。福祉経済が対象とするのは,将にこの社会なのである。将来に渡り,公・私の企業のあり方,人々の生活のあり方そのものなのである。