著者
今井 佐恵子
出版者
福知山公立大学
雑誌
京都短期大学論集 (ISSN:02866390)
巻号頁・発行日
vol.30, no.1, pp.17-24, 2002-03-15

戦後わが国では食生活の欧米化が進んできた。しかし, 高エネルギー, 高脂肪の食生活は生活習慣病を引き起こし健康長寿に結びつかないことが明らかとなり, 食の欧米化に歯止めをかける必要に迫られている。この論文では明治時代に生活様式の洋風化の風潮のなか副食を充実させた日本食を陸軍の兵食基準に定めた森鴎外と, 衣食住すべてにおいて欧米化を推進すべしと主張した福澤諭吉の食生活論を比較検討した。森鴎外は食糧を自給することの重要性を訴えたが, 福澤諭吉は米をはじめとする食糧も外国から輸入すればよいとした。しかしながら, 2人に共通していたのは誰もが新しい情報を得ることができ, 実験により証明することのできる西洋科学を日本に導入することであった。
著者
桐村 ます美
出版者
福知山公立大学
雑誌
京都短期大学紀要 (ISSN:13483064)
巻号頁・発行日
vol.35, no.1, pp.41-50, 2007-03

島国に住む我われ日本人は、昔から幾種もの海藻を食用としてきた。海藻は現在の食生活にとって欠かすことのできない食品となっている。中でもノリ、コンブ、ワカメ、ヒジキ等は古くから利用され消費量も多い。近年では健康食品としても再認識され、以前にない新種も次々と市場に出回り全国的に流通し始め、店舗における海藻類の売り場も様変わりしてきた。本研究においては、京都府北部を含む日本海沿岸に生育する海藻(ホンダワラ:Sargassum Fulvellum)の食用利用の拡大を図るためその特性を調べ検討した。栄養成分としては、海藻特有の食物繊維及び無機質が豊富に含まれること、味にクセがなく各種料理に応用できることから今後幅広く食用として利用できることを確認した。
著者
齋藤 達弘 Tatsuhiro Saito
出版者
福知山公立大学
雑誌
福知山公立大学研究紀要 = Fukuchiyama journal of research : journal of the University of Fukuchiyama (ISSN:24327662)
巻号頁・発行日
vol.4, no.1, pp.93-147, 2020

この論文の目的は,新潟市に本社を置く株式会社セイヒョーが1989 年から2019 年までの31 年間,どのように企業成長をファイナンスしてきたのかを検証し,その財務政策を考察することにある.セイヒョーは,主たる事業を冷菓(アイスクリーム・氷菓),和菓子(笹だんご・ちまき),冷凍倉庫における保管とする,創業100 周年を迎えた老舗企業で,70 年を超える上場の歴史を持つ企業ではあるが,売上高は40 億円ほど,従業員は80 人ほどの中堅企業である.取引先の代表社員で,大株主でもあった村山勤が,1993 年から12 年もの長い間,社長を務めた後,2006 年,OEM 契約先(明治乳業)出身の菅豊文を社長として迎え入れて退任した.村山勤は経営の停滞を招いた.菅豊文は停滞した経営を改革しようと精力的に取り組んだが,業績はより一層,悪化し,堅持してきた無借金経営を断念し,負債を残してわずか2 年で引責辞任する.後任の社長には生え抜きのベテラン,山本勝が就くものの,経営状況は変わらず,3 年で引責辞任する.代わって取締役2 年目の若手,飯塚周一が社長に就く.しかし,それでも経営状況は好転せず,2012 年6 月,株価低迷から時価基準に抵触し,上場廃止の危機に瀕することになる.自社株買いにより株価を引き上げ,何とか上場を維持した.その後,株価は安定し,上場廃止の危機は遠のいたように見えるのだが,新潟におけるセイヒョーのような上場中堅企業が上場し続けることの意義を再考する時期が来ている.
著者
張 明軍 Mingjun Zhang
出版者
福知山公立大学
雑誌
福知山公立大学研究紀要 = Fukuchiyama journal of research : journal of the University of Fukuchiyama (ISSN:24327662)
巻号頁・発行日
no.3, pp.151-164, 2020-03

本稿は外国人観光客の急増、地域過疎の深刻化という現状において、地域伝統文化の保護と伝承をめぐって、必要な取り組みについて、論述を展開した。無形文化財の価値が有している妖怪文化に焦点を与えて、その保存と継承を目指して、外国人観光客の誘致に妖怪文化を活用するための知見を深める必要があると考え、妖怪文化の代表である酒吞童子伝説を生かした地域活性化の事例を取り上げ、妖怪文化に対して、日本側、中国側、韓国側の概念、イメージ、特徴などの比較を実施した。比較を通じて、妖怪文化を生かしたインバウンド観光誘致の取り組みの可能性と注意点を解明し、妖怪文化の創意工夫について考察し、提言を行った。酒吞童子伝説によるまちづくりを次世代に引渡すためには、酒吞童子伝説の面白さを次世代に理解させること、あるいは、次世代に合わせて、新たな酒吞童子伝説を創出することが要求されている。新たな酒吞童子に関心を持つ現代人が増え、「新酒吞童子ブーム」が引き起こせれば、アニメの聖地巡礼のように、自然にインバウンド観光の誘致や定着が実現できると考えられる。
著者
齋藤 達弘 Tatsuhiro Saito
出版者
福知山公立大学
雑誌
福知山公立大学研究紀要 = Fukuchiyama journal of research : journal of the University of Fukuchiyama (ISSN:24327662)
巻号頁・発行日
vol.3, no.1, pp.29-55, 2019

この論文の目的は,新潟県長岡市に本社を置く岩塚製菓株式会社(以下,岩塚製菓)が,1990 年から2018 年までの29 年間,どのように企業成長をファイナンスしてきたのかを検証し,その財務政策を考察することにある.岩塚製菓が資産として保有する中國旺旺控股有限公司(Want Want ChinaHoldings Ltd.)の株式時価評価は,2014 年には900 億円を超え,岩塚製菓の株式時価総額のおよそ3 倍になった.しかし,それは必ずしも財務政策の結果とはいえない.その倍率は2018 年には2 倍弱になっているが,資産として保有する株式の時価総額が株式を保有する企業の時価総額よりも大きいという上場企業として異常な状態にあることに変わりはない.中國旺旺控股有限公司の株式は,その一部を売却することにより利益とキャッシュ・フローを得る手段になっている.岩塚製菓の市場評価が中國旺旺控股有限公司の株式評価に大きく左右される異常な状態を解消する手段の一つはMBO(Management Buyout)による非公開化であると考える.
著者
岡本 悦司 神谷 達夫
出版者
福知山公立大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011-04-28

特定健康診査・保健指導によるメタボ医療費の抑制効果を評価するため,医療給付実態調査のレセプトデータより,2010~13年度の4年間に継続して被保険者であった者について,メタボ疾患を主傷病とするレセプトの医療費の伸びを追跡した。突合人数100人以上の1038組合484万6222人を対象とした。4年間のメタボ医療費の平均伸び率の分布は,1.05~1.1に最多の330組合が分布しており,歪度1.81と右側(=医療費増加)に偏っていた。若干の加齢による影響も加味しなければならないが,各保険者がメタボ対策にとりくんだ4年間においても明確なメタボ医療費削減効果は観察されなかった。
著者
田岡 洋子 高森 壽 井澤 尚子 斎藤 祥子 椋梨 純枝 青木 迪佳 高木 くに子
出版者
福知山公立大学
雑誌
京都短期大学紀要 (ISSN:13483064)
巻号頁・発行日
vol.34, no.1, pp.1-12, 2006-03

高齢者の生活意識と衣服環境についての調査を2001年10〜11月に北海道から九州の8地域に居住する元気な高齢者(男性282名、女性810名、計1,092名)を対象に質問紙調査法を用いて行い、有効回収率93.7%であった。「生活意識」は健康を心配し、健康維持のために食べることを男性53.5%、女性62.7%が注意し、楽しいのは人と接することであり、おしゃれ感のある男性51.4%、女性83.0%であった。服装については男性46.5%、女性66.7%がおしゃれ感をもち、着用時の第一留意点は「足もとには履きやすいもの」で、因子分析では自己表現・調和・実用性・着心地に女性が高得点で、男性は規範性に高得点であった。「望ましい高齢者衣服のイメージ」は暖かく・ゆったりした・上品な・明るいが上位で、因子分析では男性が親しみやすさ・活動性に、女性は容儀性・ファッション性に高得点であった。生活意識から見ると女性が暮らしの工夫をし、おしゃれ感、望ましい高齢者衣服のイメージには性差が見られた。
著者
田岡 洋子 井澤 尚子 高森 壽 斎藤 祥子 青木 迪佳
出版者
福知山公立大学
雑誌
京都短期大学紀要 (ISSN:13483064)
巻号頁・発行日
vol.35, no.1, pp.17-39, 2007-03
被引用文献数
1

望ましい高齢者の衣服についての調査を2001年10・11月に北海道から九州の8地域の居住する元気な高齢者を対象に質問紙調査法を実施した。有効回収数1,092票、有効回収率93.7%であった。生活意識として、心配ごとは健康で、それを維持するために、食べ物に注意している。楽しいことは人と接することで、外出や旅行を好み、おしゃれ感もあり、服装におしゃれ感のある人が多い。着用時の留意点としては「足もとには履きやすいもの」「色・柄・デザインが気に入ったもの」「肌触りがよく柔らかいもの」など女性60才代、70才代、80才代の間に有意差のある25項目中17項目で、因子分析後の因子得点は「自己表現」に高得点を得た60才代と低得点の80才代。また、地域的には「自己表現」の高得点地域は関東、四国、近畿で、「実用性」は近畿、四国、が高得点であった。「調和」の高得点は九州、北海道、中部、四国の順であり、「規範性」は北海道が高得点であった。次にイメージとしては「ゆったりした」「暖かく」「上品な」「明るい」「親しみやすい」が上位で、18対の形容詞の中9対が有意差があり、因子分析後の因子得点は「活動性」に80才代は高得点を得て、低得点の60才代であった。また、地域では「容儀性」の高得点は関東、東北、近畿の順で、「活動性」は北海道、四国、中部の順に高得点であった。「親しみやすさ」は中国、関東が高得点で、「ファッション性」は近畿、中国、四国の順に高得点であった。以上のように、望ましい高齢者の衣服は年齢差、地域差があることが分かった。
著者
矢埜 みどり
出版者
福知山公立大学
雑誌
京都短期大学紀要 (ISSN:13483064)
巻号頁・発行日
vol.31, no.1, pp.57-58, 2003-03-15
著者
檀 明
出版者
福知山公立大学
雑誌
京都短期大学紀要 (ISSN:13483064)
巻号頁・発行日
vol.32, no.1, pp.65-66, 2004-03-15
著者
中井 秀樹
出版者
福知山公立大学
雑誌
京都創成大学紀要
巻号頁・発行日
vol.5, pp.79-84, 2005-01-31

我々の普段の生活において,意思決定は様々な面で行われているが,この意思決定の過程には,様々な状況を判断し論理的に判断されたものから,推測や主観により感情的な部分で判断されているものまで,様々である。本稿では,年金未納問題における意思決定過程で感情がどのような働きをしているのかの仮説に基づいて検証を行う。
著者
溝渕 信定
出版者
福知山公立大学
雑誌
京都短期大学紀要 (ISSN:13483064)
巻号頁・発行日
vol.31, no.1, pp.1-12, 2003-03-15

貨幣を獲得することは、今日の社会では必要不可欠の行動です。しかし、貨幣を獲得することだけで「豊かな」ことではないはずです。わたしたちはよく「豊かになった社会」とか「豊かな生活」といいますが、どこが豊かなのか、また、真の豊かさというのが何なのかということについて福祉経済学-本来の経済学-の立場から考えることにしました。本当に豊かだといえるには、人によって異なるのは当然ですが、人として生きていく時、欠かしてはいけないもの、忘れてはいけないものをしっかりと持ち、生活を楽しめることであります。またそのようなことが可能な社会が、豊かな社会ではないかと思います。お互いが認め合う共存社会であります。お互いの認識があれば、規則や現制は要らない社会のはずです。「豊かな社会」とは、生産によってのみ得られるものではなく、質の高い生産を生み出す社会です。
著者
笠原 多恵子
出版者
福知山公立大学
雑誌
京都創成大学紀要
巻号頁・発行日
vol.3, pp.41-46, 2003-01-31
著者
溝渕 信定
出版者
福知山公立大学
雑誌
京都短期大学論集 (ISSN:02866390)
巻号頁・発行日
vol.29, no.1, pp.17-25, 2001-03-15

福祉国家という言葉は存在していたが,福祉経済という言葉はありそうでなかった。なぜかと考えてみるに経済学は,その語源である「経世在民」という言葉が示すように,世を治め,人民を救う。すなわち幸せな社会の創造と人々の安らかな生活を実現することなのである。福祉の目的としているものと同じなのである。経済という言葉は,多くの人々に貨幣の獲得や,生産の増大として理解されているが,それ自体に問題がある。ちょうどわが国が,抱えている問題でもあるのである。福祉経済が対象とするのは,将にこの社会なのである。将来に渡り,公・私の企業のあり方,人々の生活のあり方そのものなのである。