著者
今井 佐恵子
出版者
福知山公立大学
雑誌
京都短期大学論集 (ISSN:02866390)
巻号頁・発行日
vol.30, no.1, pp.17-24, 2002-03-15

戦後わが国では食生活の欧米化が進んできた。しかし, 高エネルギー, 高脂肪の食生活は生活習慣病を引き起こし健康長寿に結びつかないことが明らかとなり, 食の欧米化に歯止めをかける必要に迫られている。この論文では明治時代に生活様式の洋風化の風潮のなか副食を充実させた日本食を陸軍の兵食基準に定めた森鴎外と, 衣食住すべてにおいて欧米化を推進すべしと主張した福澤諭吉の食生活論を比較検討した。森鴎外は食糧を自給することの重要性を訴えたが, 福澤諭吉は米をはじめとする食糧も外国から輸入すればよいとした。しかしながら, 2人に共通していたのは誰もが新しい情報を得ることができ, 実験により証明することのできる西洋科学を日本に導入することであった。
著者
田岡 洋子 村岡 洋子 H. TAOKA Y. MURAOKA
出版者
京都短期大学成美学会
雑誌
京都短期大学論集 (ISSN:02866390)
巻号頁・発行日
vol.29, no.1, pp.27-60, 2001-03

学生による高齢者へのインタビューを通して,その生活の現状とこれまでの生活の歴史と考え方を調査した。インタビューをした高齢者は比較的健康で,現在の生活に満足している。約30%の人が現在でも仕事をしている。これまでの仕事歴は男性が専業,女性がパートとはっきり分かれているが,80%の人は女性が仕事をもつことはよいことだと考えている。介護の体験は女性が多いが,男性も28%は介護経験者である。介護して心に残った印象は,ただ辛いばかりでなく,介護・生・死についてさまざまな感慨を得ている。自分の老後に関しては男性がつれあい,女性が娘とはっきりと別れており,介護をしてもらう場所としては男女とも自宅がよいと回答している。この点ではともに全国的調査と同様の典型的なパターンではあるが,病院より老人ホームの方が高くなったり,家族以外の社会的介護が望ましいと思う人はともに19%前後とかなり高い値を示すなど,新しい傾向も垣間見られる。老人ホームはあまり好ましいとは思っていないが,それでも30%の人が見学に行ったり,行きたいと思っている。質問をした学生達には大切な仕事だから頑張ってとか,君なら大丈夫と温かい励ましをいただいており,高齢者とじっくり話し合うのは初めての経験という学生達はそれぞれに感銘を受けている。
著者
溝渕 信定
出版者
福知山公立大学
雑誌
京都短期大学論集 (ISSN:02866390)
巻号頁・発行日
vol.29, no.1, pp.17-25, 2001-03-15

福祉国家という言葉は存在していたが,福祉経済という言葉はありそうでなかった。なぜかと考えてみるに経済学は,その語源である「経世在民」という言葉が示すように,世を治め,人民を救う。すなわち幸せな社会の創造と人々の安らかな生活を実現することなのである。福祉の目的としているものと同じなのである。経済という言葉は,多くの人々に貨幣の獲得や,生産の増大として理解されているが,それ自体に問題がある。ちょうどわが国が,抱えている問題でもあるのである。福祉経済が対象とするのは,将にこの社会なのである。将来に渡り,公・私の企業のあり方,人々の生活のあり方そのものなのである。