著者
守上 祐樹 藤森 明 久米井 真衣 灰原 博子 岡田 志緒子 溝渕 憲子 坂井 誠 中西 健
出版者
一般社団法人 日本透析医学会
雑誌
日本透析医学会雑誌 (ISSN:13403451)
巻号頁・発行日
vol.49, no.2, pp.187-190, 2016 (Released:2016-02-28)
参考文献数
6
被引用文献数
1

血流量 (QB) とTMPの関係を明らかにする目的で, 血液透析 (HD) および前希釈オンライン血液透析濾過 (OHDF) の際, 血液側入口圧 (PBi), 血液側出口圧 (PBo), 透析液側入口圧 (PDi), 透析液側出口圧 (PDo) の4点の圧を測定した. 透析液流量は500mL/分とし, 血液流量 (QB) を100mL/分から250mL/分まで変化させTMPの変動を観察した. 5種類の計算式でTMPを算出し比較した. TMPの値は計算法によって大きく異なった. QBを上昇させた場合, HD条件ではすべての計算法でTMPは低下した. 一方, 前希釈OHDFではPBiを測定した計算法でTMPは上昇, その他の計算法では低下した. QBを上昇させると血液側の圧損失が増大するため, PBiを測定しなければ計算上のTMPの誤差が大きくなるものと考えられた. QB上昇の際, HDでは剪断速度の上昇のためTMPは低下し, 前希釈OHDFではQBの上昇により希釈率が低下したためTMPが上昇したと考えられた.