著者
溝辺 真
出版者
九州病害虫研究会
雑誌
九州病害虫研究会報 (ISSN:03856410)
巻号頁・発行日
vol.56, pp.66-71, 2010 (Released:2011-04-01)
参考文献数
16
被引用文献数
1 1

0.4mm目ネットに代わる微小害虫の侵入防止技術として,0.8mm目ネットにマシン油や展着剤を噴霧する方法を室内試験や小規模の野外試験で検討した。油脂を主成分とする気門封鎖剤やいくつかの展着剤を所定の濃度に希釈し,0.8mm目ネットに噴霧すると,タバココナジラミはネットに付着した薬液に捕捉され,ネットを通過できなかった。また,同様にマシン油の原液を0.8mm目ネットに噴霧する方法の侵入防止効果を黄色粘着板への誘殺数により検討したところ,ネットのみの平均誘殺数が98.2頭であったのに対し,マシン油を噴霧した場合の平均誘殺数は0.5頭となり,0.4mm目ネットの平均誘殺数 6.0頭と同等の侵入防止効果が認められた。マシン油の原液処理はワタアブラムシやヒラズハナアザミウマに対しても,同様の効果が認められた。さらに,マシン油の原液処理の効果持続期間について検討したところ,降雨のないガラス室内では,処理 131日後においてもタバココナジラミに対して処理直後とほとんど変わらない効果が認められた。