著者
滋野 哲秀
出版者
一般社団法人 日本科学教育学会
雑誌
日本科学教育学会年会論文集 45 (ISSN:21863628)
巻号頁・発行日
pp.391-392, 2021 (Released:2021-12-20)
参考文献数
5

本研究は、筆者が担当する大学での理科教育法及び地学に関する教養の授業を学ぶ学生のデータに基づいたミスコンセプション研究から生まれた問いのデザインが、義務教育から高等学校の地学分野の教育、さらに一般市民の気象防災にどのような効果をもたらすのかについて、大学の授業における試行をもとに分析したものである。その際、まず中学校の教科書の記述や模式図がどのようなミスコンセプションを生起させているのかについて分析し、特に、大雨などの気象災害を学ぶことができるような内容になっているのかを検討した。その結果、前線についての説明や模式図、気象災害の中心となる積乱雲についての記述、降水域を記した模式図は、近年多発する大雨などの降水域とはあまり整合しておらず、気象防災知識を学ぶには不十分なのではないかとの結論を得た。この状況を改善するためにミスコンセプションから開発した問いのデザインの効果について報告する。