著者
勝原 達也 滝本 宗宏
雑誌
情報処理学会論文誌プログラミング(PRO) (ISSN:18827802)
巻号頁・発行日
vol.48, no.SIG12(PRO34), pp.52-65, 2007-08-15

命令レベル並列性を高める有効な手法の 1 つとして、命令スケジューリングがある。特に、投機的実行を許す命令スケジューリングは、さらに並列度を高められる点で効果的であることが知られている。投機的実行は、元のプログラムに存在しなかった冗長性を導入する可能性があるので、1 つの命令をスケジュールするたびに共通部分式の削除を適用することが効果的である。本発表では、共通部分式の削除で取り除くことができない部分冗長性を扱う部分冗長除去に注目し、部分冗長除去に基づく大域命令スケジューリングを提案する。本手法は、あるプログラム点に対して、投機的命令スケジューリングを含むコードの上方移動を行うごとに、部分冗長除去のデータフロー解析を適用する。解析結果から最適化効果が認められる場合、実際にプログラムを変更することで、命令スケジューリングを実現する。部分冗長除去の性質は、プログラムの実行パスを長くしないことを保証し、大域命令スケジューリングで問題となる補償コードを最適なプログラム点に自動的に挿入する。また、本手法は、ループ構造を認識することなく、ループスケジューリング手法の 1 つである、ループシフティングを実現することができる。さらに本論文では、本手法を COINS コンパイラ・インフラストラクチャ上で実装し、最適化効果を検証する。
著者
多胡 樹 滝本 宗宏 神林 靖
雑誌
第82回全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.2020, no.1, pp.251-252, 2020-02-20

わが国において様々な自然災害に悩まされている。災害が発生したときに災害警戒レベル4に相当する命を守る行動を呼びかける情報を出しても、どこに避難所があってどのようにして避難したらいいのか迷うことがある。そこで、避難経路誘導システムを研究している。これは、災害の状況に応じて適切に避難経路を用いて被災者を誘導するものである。しかし、この実システムに含まれていた単一障害点の解決を求められていた。そこでわれわれは遠隔手続き呼び出しを用いて冗長化構成によって単一障害点の問題を解決するためにシステムを開発し、その有用性について検証した。
著者
滝本 宗宏 佐々 政孝
出版者
日本ソフトウェア科学会
雑誌
コンピュータ ソフトウェア (ISSN:02896540)
巻号頁・発行日
vol.25, no.1, pp.1_30-1_46, 2008 (Released:2008-03-31)

コンパイラでは,機械語の目的コードを生成するに際して,実行させたときにその目的コードが効率良く実行できるように,様々な変換を行う.これを「最適化」という.最適化の方法としては,従来はデータフロー解析と呼ばれる方法が使われていたが,最近は静的単一代入形式というものを用いた最適化の方法が注目を浴びている.静的単一代入形式(SSA形式)は,すべての変数の使用に対して,その値を定義(代入)している場所がテキスト上1箇所しかないように変数の名前替えをした中間表現の形式である.この性質を利用することにより,いろいろな最適化が見通し良く,容易にできるようになる.これを静的単一代入形式最適化と呼ぶ.本稿(発展編)では,静的単一代入形式最適化のあらましについて,解説する.
著者
滝本 宗宏
雑誌
情報処理学会論文誌プログラミング(PRO) (ISSN:18827802)
巻号頁・発行日
vol.2, no.5, pp.15-27, 2009-11-20

コンパイラが行うコード最適化の1つである部分冗長除去は,冗長な式を除去するとともに,ループ不変式をループの外に移動する強力な手法である.部分冗長除去に基づいて行うプログラム変形は,いずれの実行経路上にも式を増加させないことを保証しており,その意味で,安全な最適化であるといわれる.一方,ループ内に存在する計算のように,頻繁に実行されることが予想される式は,たとえ実行経路上の式の数を増加させても,ループの外に移動させる投機的な移動を行う方が,プログラムの効率的な実行に貢献する場合がある.本研究では,ループ内の式についてだけ,投機的な移動によって,ループの外に移動させる部分冗長除去法を提案する.従来,部分冗長除去において,一部の実行経路上で冗長な部分冗長な式とループ不変式とを見分けることは困難であった.本手法では,質問伝播という要求駆動型の解析法を用いることによって,任意の制御フローグラフに対して,ループ不変式だけを投機的にループ外に移動させることができる.本手法の効果を示すために,本手法をCコンパイラに実装し,評価を行った.その結果,従来法と比べ,実行効率が17%以上向上する場合があることを確認した.